2014 Fiscal Year Research-status Report
超臨界流体中の拡散加速現象の解明と複合マルチスケール材料集積系への応用
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25820122
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
渡邉 満洋 山梨大学, 総合研究部, 助教 (90532036)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超臨界流体 / 銅 / 凝集 / 拡散 / 密着性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に得られた超臨界流体中におけるCu薄膜の凝集ならびに拡散の結果に基づき,平成26年度ではCu薄膜の凝集ならびに拡散の抑制に取り組んだ.平成25年度の結果から,超臨界流体中アニールを施したCu薄膜は凝集し,その凝集したCuの外周部は酸素濃度が高いことがわかっており,凝集ならびに拡散には酸化還元反応が寄与していることが示唆された.そこで平成26年度は,Cuと固溶する金属膜を下地として用いることによって凝集の抑制に取り組んだ.下地金属には,二元系平衡状態図においてCuと全率固溶するNi,Cuに対してある程度の固溶幅を有するCoならびにZnを用いた.下地層の堆積にはスパッタリングまたは電子ビーム蒸着を用い,堆積厚さは0.5~50 nmである.下地層の堆積後,スパッタリングを用いて厚さが50 nmのCu薄膜を堆積し,超臨界流体中アニールを施した.アニールは,平成25年度においてCuの凝集が顕著に観察された超臨界CO2にH2を添加した雰囲気で行った.アニールの温度は240℃,時間は60 minである. Cu薄膜の下地層にNi,Co,Znを用いて超臨界流体中アニールを施したところ,下地層を用いていない場合に比べて表面粗さの増大が明らかに抑制された.これは,超臨界流体中におけるCu薄膜の凝集ならびに拡散に対して下地層が影響していることを示している.また,Niを下地層として用いた場合はほとんど粗さの変化が認められなかった.アニール処理を施したNiを下地層として用いた構造の断面観察の結果,CuとNiの界面においてこれらの混合が観察された.これらの結果は,Cu薄膜と下地材料の密着性がCu薄膜の凝集ならびに拡散に影響を与えていることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書に記載した本年度の計画をほとんど遂行することができているため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度も引き続きCu薄膜の凝集抑制に取り組む.本年度はCu薄膜の合金化による凝集抑制を検討する.具体的には,スパッタリングなどを用いてCu合金薄膜を堆積し,超臨界流体中アニールを施す.これによって,導入される空孔を制限できる可能性がある.添加元素は,本年度においてCu薄膜の凝集抑制に良い結果を示したNiを中心に選定する.
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