2014 Fiscal Year Research-status Report
新規手法による配向性チタン酸バリウム膜の形成機構と配向制御技術に関する研究
Project/Area Number |
25820130
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Research Institution | Toyama Industrial Technology Center, |
Principal Investigator |
坂井 雄一 富山県工業技術センター, その他部局等, 研究員 (70416155)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | チタン酸バリウム / 厚膜 / 配向 / スクリーン印刷 |
Outline of Annual Research Achievements |
スクリーン印刷で配向性BaTiO3膜を形成する手法について取り組んでいる。この手法では、格子整合層が不要かつパターニングが容易という長所がある。本研究では、その配向のメカニズムを明らかにし、分極軸方向である<001>方位のみに制御することや、類似構造の組成系へ適用することを目的としている。 これまで、六方晶BaTiO3が配向膜形成に影響を与えている可能性および基板からの応力が配向膜形成に影響を与えている可能性が示されており、昨年度は六方晶BaTiO3が配向膜形成に与える影響について検証し、安定して配向率が85%以上の高配向な厚膜を得ることができるようになった。今年度は、基板からの応力が配向膜形成に与える影響について検証した。チタン酸バリウムよりも熱膨張係数の大きい基板、小さい基板を用いることで、それぞれ、c軸、a軸に優先配向することが確認された。通常、厚膜ではバルクセラミックスほど緻密な膜が形成できないため、バルクの特性及ばないことが多いが、c軸優先配向膜ではバルクセラミックスと遜色ない残留分極値が得られた。また、チタン酸バリウム以外の系に本手法を適用するために、チタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム系材料やアルカリニオブ系材料についての検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基板とチタン酸バリウムの熱膨張係数の相違に起因する残留応力が配向膜の方位を決定することが明らかとなった。c軸配向のチタン酸バリウム厚膜では、無配向の膜と比較して特性が向上し、バルクセラミックスとほぼ同等の残留分極値を得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
チタン酸バリウムのAサイト、Bサイトを部分的に置換した系での配向膜形成を試みる。通常、Bサイトの一部をZrで置換した系では特性が向上することが知られているが、温度安定性が悪化する。そこで、温度安定性の向上をもたらすことが期待されるAサイトのCa置換も同時に行い、特性の向上と温度安定性の両立を目指したチタン酸ジルコン酸バリウムカルシウム系での配向性厚膜の形成を試みる。また、チタン酸バリウムよりもキュリー温度の高いアルカリナイオベート系材料などの非鉛系材料の厚膜化や配向膜形成を試みる。
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Causes of Carryover |
購入予定の材料について、既存品を加工することで代用できたこと、また、当初予定していた旅費が他の研究費から支出可能となったこと、によって未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を進めるうえで当初想定していなかったオーブンや分析装置の部材が必要となったため、その購入にあてる予定にしている。
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Research Products
(5 results)