ランダムサンプリングによる高速THz-TDSシステムの開発

2015 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 25820139
• Research Institution: University of Fukui
• Principal Investigator: 古屋 岳 福井大学, 工学部, 技術職員 (20401953)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: レーザー / タイミングジッタ / テラヘルツ / 高速測定

Outline of Annual Research Achievements

本研究では，機械式遅延や繰返し周波数変調等を行わず，1台のレーザーにより高速測定可能なテラヘルツ時間領域分光装置の開発を目的としてきた。その鍵となる技術はレーザーの繰返し周期の揺らぎ（タイミングジッタ）をパルス毎に精度よく測定することと，プローブ光が検出素子に入射したタイミングにおけるテラヘルツ波強度をパルス毎に検出することにある。昨年までの研究において，ジッタ測定に関しては非線形光学結晶による和周波強度変化として測定可能であることを確認した。また，テラヘルツ波の測定にはヘテロダイン電気光学サンプリングに金属V溝構造を組み合わせ，検出信号の高感度化を試みた。しかしながら，得られた信号強度は積算なしで検出するには不十分であった。これは本研究で使用したレーザーが外部電気トリガで駆動する仕様のものであり，外部共振器型と発振機構が異なることが一因と考えられる。
これらの背景から，電気光学サンプリングを用いた測定を断念し，光伝導アンテナを用いた測定を試みた。光伝導アンテナを用いた場合，励起光源には790 nmの波長を用いた方が効率が高いため，THz波の発生検出には2倍波変換モジュールによって波長変換した790 nmの光を用い，変換モジュール透過後の基本波(1550 nm)をタイミング揺らぎ測定に使用することとした。変換モジュール透過後の基本波スペクトルは波長変換により綺麗なガウス分布からずれが生じるが，エッジフィルタに入射することにより，波長に対し，強度変化をつけることでタイミング揺らぎを測定可能であることを確認した。テラヘルツ信号検出では検出後の信号を高速電流アンプで増幅することにより，パルス毎の信号検出が可能であることを確認した。これまでに，テラヘルツ波およびタイミングジッタをシングルショットで同時に測定可能なことを確認することができており，本研究の原理実証は概ね終了した。