2013 Fiscal Year Research-status Report
量子固体を用いた高強度中赤外・テラヘルツ光源の開発
Project/Area Number |
25820144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮本 祐樹 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (00559586)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | テラヘルツ / 固体水素 |
Research Abstract |
光と電波の中間に位置するテラヘルツ領域は、両者の特性を併せ持ち、近年、様々な応用に用いられている。光源開発などの技術研究も盛んにおこなわれており発展著しいが、未だに光・電波領域には及ばないのが現状である。特に光源の高出力化は未発達であり、今後のさらなる応用に向けて大きな課題であるといえる。本研究の目的は固体水素ラマンシフターによる高強度テラヘルツ光源の開発である。量子固体である固体水素の性質を利用し、媒質の振動状態を高コヒーレンス・高密度で励起することで高効率な誘導ラマン散乱が発生する。これにより光領域からテラヘルツへの効率よい波長変換が可能である。初年度では、主として固体水素ラマンシフターに特化した簡便な高品質固体水素サンプル作成法の開発に取り組んだ。本研究のサンプル作成法の特徴は、1.テラヘルツ領域で透明かつ熱伝導率の高いダイアモンド窓を持つセルを用い、2.高圧液体水素から固体を生成することであり、これにより光学的に透明で、かつ高い損傷閾値を持つサンプルの作成を目指した。固体水素用セルについては、ほぼ当初の設計通りのものを作成することができ、現在耐圧性などを試験中である。それと並行して、そのほかの現システムの動作を確認するために、水素液体からのサンプル生成を通常の赤外光用の窓をもつセルを用いて行い、光学実験に適した透明な結晶を得ることができた。現状のセルは高圧用ではないために水素液体の圧は予定より低いが、セルを交換するだけでほぼ問題なく動作することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りダイアモンド窓付固体水素用セルの作成を完了し、またそのほかのシステムも問題なく動作し液体水素から光学品質の固体サンプルを作成することに成功している。結晶作成の本質的な部分はほぼクリアしており、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに作成した固体水素用セルによるサンプル作成を速やかに行い、そのサンプルの評価、特に損傷閾値の作成条件への依存性を調査する。損傷閾値の高い結晶を用いたサンプルを使い、実際に誘導ラマン散乱を起こし、そのコヒーレンスを評価する。充分に高いコヒーレンスが得られれば、近赤外または中赤外光を入射することでテラヘルツ光の発生を試み、その性質を評価する。そのために現在使用中の可視~赤外光用のクライオスタットをテラヘルツ用に改装する必要がある。
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