2013 Fiscal Year Research-status Report
クラウド時代における多次元適応変換を用いたロッシー・ロスレス統合映像符号化
Project/Area Number |
25820152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 大三 筑波大学, システム情報系, 助教 (30615498)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 映像符号化 / 画像符号化 / リフティング構造 / フィルタバンク / 可逆重複変換 / 可逆対称拡張法 |
Research Abstract |
初年度であった平成25年度では,当初の目的通り,より迅速な実用化のための統合映像符号化実現手法に着手した.当初の目的のような「フレーム間差分信号に適応したDCT・DSTを用いた可逆変換」や,「フレームを考慮した3次元変換」の実現には及ばなかったが,実用的と言える研究成果を達成することができたので報告する.具体的には主に以下の2点である. (1)より実用的な可逆変換の実現 最新の画像符号化標準規格JPEG XRにも用いられている重複変換(LT)をベースに,新たな統合映像符号化を実現した.LTはブロック歪を解消するだけでなく,映像符号化標準規格に広く用いられているDCT行列をベースとしており,本研究においてそれらの行列の形を崩さずに統合映像符号化用の「可逆LT」を実現した.これにより,DCTの高速なアルゴリズムや安価なデバイスをそのまま再利用でき,より良好な圧縮性能を達成しただけでなく,より実用的な可逆LTを実現できたと言える. (2)より効率的な可逆画像端処理の実現 LTは画像端の処理にとても効率的な対称拡張法を採用できたが,可逆LTでは変換中のリフティング構造と呼ばれる構造ごとの丸め誤差により対称拡張法を利用できず,圧縮効率の低い周期拡張法の利用しか許さないという問題があった.そこで申請者は,可逆LTのより一般化した構造であるリフティングベース線形位相フィルタバンク(L-LPFB)に用いることのできる「可逆対称拡張法」を提案した.前述した(1)の可逆LTに適用できないという問題は残っているが,ロスレス符号化の圧縮性能向上はもちろんのことながら,ロッシー符号化における画像端の歪を軽減することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的のような実現については,平成25年度に実績を上げることができなかったが,むしろ平成26年度で実現しようとしていた「DCT以外のこれまでの研究成果をベースとしたより効率の良い可逆変換」を実現するに至った.また,兼ねてより問題となっていた,「可逆変換における画像端処理」の改善を達成できたことなどから,平成25年度は大きな進捗があったと言える.
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Strategy for Future Research Activity |
以下のような2点で研究を進める. (1)より実用的な可逆変換の実現 平成25年度に計画していた「DCT・DSTを用いた可逆変換」について,今一度検討し,また当初通り「カルーネン・レーヴェ変換(KLT)を用いた可逆変換」についても検討する.同時に,平成25年度で実現できた「可逆LT」についても追及し,更なる実用的な可逆変換を実現する.またその可逆LTを多次元化(2次元,3次元)し,更なる効率化を図る手法を構築する. (2)より効率的な可逆画像端処理の実現 平成25年度における可逆画像端処理手法では,同じく提案した可逆LTとの整合性が取れていなかった.そこで,お互いを利用できる構造や,もしくは新たな可逆変換および可逆画像端処理手法の構築を目的とする.また,画像符号化標準規格JPEG XRにおいても画像端処理問題があるため,提案した可逆画像端処理手法を拡張させ,そちらも改善する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文の英文校正は文字数により変動,PCについてはスペックの相場が変動,国際会議の参加可否は採択率によって変動するなどのため,当初の見積りと誤差が生じた.また,画質評価機器(タブレットやディスプレイなど)を購入する予定でいたが,残額では所望の機器の価格に届かないため,残額を次年度に持ち越すこととした. 持ち越した残額と平成26年度の予算を合算し,画質評価機器(タブレットやディスプレイなど)を購入する予定である.
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