2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25820153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
羽賀 望 群馬大学, 理工学研究科, 助教 (50638476)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 人体通信 / ノイズ |
Research Abstract |
ウェアラブル機器が人体周囲で行う無線通信は人体通信と呼ばれており,様々な応用例があることから,近年,世界中で研究が行われている.搬送波として数十メガヘルツ以下の周波数帯を用いた場合,省電力性に優れるものの,環境に起因するノイズの影響が非常に大きい.したがって,実用化する上でノイズ対策は必須である.これまで,ノイズ源を含んだ通信チャネルの等価回路を仮定し,それに基づいたノイズ対策が試みられてきたが,ノイズ低減効果を最大化させるためには,厳密な理論に基づいた定量的な評価が必要である.本研究は,電磁界理論に基づいてノイズ源を含んだ正確な等価回路を導出し,通信機器設計の最適化に役立てるものである. 本年度は,まず,外来ノイズ電界中の複数導体系において導体の電位と電荷が満足する連立一次方程式を導出した.この連立一次方程式を,キルヒホッフ電流則に基づく節点解析方程式と照らし合わせることで,外来ノイズ電界が回路的には電流源として振る舞うことを示した.さらに,電流源とその並列の静電容量に対して電源の等価変換を施すことで,等価電圧源による等価回路を導出し,これが先行研究で提案されていた回路モデルを拡張・一般化したものであることを示した. 続いて,比較的単純な外来ノイズ電界の分布を仮定し,境界要素法(モーメント法)による静電界解析によって,上記で導出した等価回路の回路定数値を求め,その回路方程式を解くことで受信ノイズ電圧を計算した.その結果を有限差分時間領域法(FDTD法)による動的電磁界解析によって直接計算した受信ノイズ電圧と比較し,両者がほぼ一致することを確認した.これは,準静的とみなしうるノイズ電界が通信系に存在する場合,それを等価回路として完全に表現できることを意味しており,本研究のアプローチの有効性を示すものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,(1)基礎理論の整備と,(2)比較的単純なノイズ電界モデルを用いた具体的数値計算を行うことが目標であった.これらのうち,(1)に関しては,特に問題なく行うことができた.様々な図書や論文を調査してみたが,本研究のように外来電界に照射された複数導体系の回路表現について言及されたものは存在せず,全く独自のモデルであると考えている.また,(2)については,これまでに開発してきた静電界解析及び動的電磁界解析プログラムを拡張することで容易に行うことができた.上記の理由により,研究はおおむね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,実際のノイズ電界の分布を測定し,ノイズ源がどのような形態で存在しているのかを推定する.ノイズ電界の分布を,測定計によって乱すことなく正確にプロービングするために,特別仕様の光電界センサを導入する予定である. 測定結果に基づいてノイズ源の分布をモデル化し,このモデルを用いた数値計算によって等価回路のノイズパラメータを算出する.得られたパラメータを用いた回路シミュレーションによって,ノイズ低減のための回路部品について検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初,平成26年度に購入予定の光電界センサの費用として100万円以内を想定していたが,特注の都合上,約115万円の見積額となり,平成26年度の申請額100万円だけではまかないきれないことが判明した.そのため,199,690円を平成26年度に繰り越した. 上記の理由により,繰り越した199,690円と平成26年度の申請額を合わせて,光電界センサを購入する予定である.
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