2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25820163
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
中田 一紀 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 研究員 (40404107)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 磁性体発振素子 / 注入同期 / 位相縮約 / スピントロニクス / 無線通信 |
Research Abstract |
本研究では、位相記述に基づく注入同期機構の数理的最適化手法を適用し、磁性体発振素子アレイの同期特性の向上による高出力化を目的としている。平成25年度の研究では、まず、時間領域において、発振素子単体のダイナミクスを記述するLLGS方程式から位相応答関数を算出し、対応する位相方程式を導出した。次に、得られた位相方程式から、注入同期の周波数引き込み範囲を最大化し、注入同期の安定性を最適化する入力波形をそれぞれ理論的に求めた。上記の結果から、磁性体発振素子の複数の発振状態である in-plane 歳差モードと out-of-plane 歳差モードに対応した注入同期の最適化が期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
磁性体発振素子単体のダイナミクスを記述するLLGS方程式から対応する位相方程式を導出することができたため、予定より早い段階において、注入同期機構を最適化する入力波形を理論的に求めることができた。そこで、次の段階として、磁性体発振素子アレイのダイナミクスの解析を行い、その同期特性について研究を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度以降の研究では、磁性体発振素子アレイの注入同期機構の最適化とその応用について研究を進める。 そのため、磁性体発振素子から導出した位相方程式に、素子間の相互作用に対応した位相結合関数を導入し、磁性体発振素子アレイのダイナミクスに数理解析を行う。次に、位相縮約法による最適化理論に従い、発振素子アレイの同期特性を最適化する条件を明らかにする。また、位相領域における位相応答関数の効率的な推定手法についても検証を進める。さらに応用にむけて、磁性体発振素子アレイのフェーズドアレイ動作とその注入同期特性についても研究を進捗させる予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究が予定より早く順調に進捗したため、26年度に予定していた研究課題に着手することになり、その準備として、備品一式を購入した。予算全体としては、若干の未使用分が生じたため、次年度使用額として繰り越している。 次年度はすでに必要な備品は揃っているため、それらを積極的に活用し、研究課題を進める予定である。共同研究者の研究施設を利用したり、インタラクティブな議論を行うために、国内出張が必要になる。また、成果発表のため、国際会議での発表を行う予定である。
|