2013 Fiscal Year Research-status Report
有限周波数特性を厳密に保存する大規模システムの適応的階層化ネットワーク低次元化
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25820177
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 千昭 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (00456162)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 階層化ネットワークシステム / モデル低次元化 / 有限周波数特性 / 多次元システム |
Research Abstract |
平成25年度では、平成26年度以降に有限周波数特性を厳密に保存する大規模システムの適応的階層化ネットワーク低次元化を主として遂行するために、(i) 分散型固有直交分解に基づく大規模システムの低次元化、(ii) 多次元システムの有限周波数特性の特徴付け の2つのサブテーマを遂行した。 (i)では、大規模システムの有効な低次元化手法の一つである固有直交分解に対して、分散的なアプローチを提案した。これによって、階層化ネットワークシステムの低次元化に対して、低次元化誤差の上界値も理論的に保証する形での低次元化手法を与えた。この成果は、線形システムに対して国際会議European Control Conference 2013(2013年7月にスイス・チューリッヒにて開催)において発表し、非線形システムに対して計測自動制御学会制御部門マルチシンポジウム(2014年3月)にて発表した。これらの成果は、現在論文誌に投稿する準備中である。なお、これらの結果はシステムのパラメータが時不変である適応的ではない状況の低次元化を考えている。平成26年度では、パラメータが時変な適応的に低次元化を行う状況へと拡張する予定である。 また、(ii)については、ビヘイビアアプローチの観点から、多次元システムの有限周波数特性を消散不等式を用いて解析的に特徴づけた。また、この結果は、多次元システムの消散性理論の観点からもオリジナルな結果を与えている。さらに、この結果を、国際論文誌SICE Journal of Control, Measurement, and System Integrationに採録となった。平成26年度では、(i)の結果と組み合わせることにより有限周波数特性を厳密に保存するような低次元化手法を提案する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、平成26年度以降に有限周波数特性を厳密に保存する大規模システムの適応的階層化ネットワーク低次元化を主として遂行するための基盤となる結果を与える位置づけである。「研究実績の概要」(i)(ii)にあるように、適応的な低次元化を除いては基盤となる結果を導けている。また、適応的な低次元化に関しても、予備的な結果や今後の方向性の指針となるアイデアをいくつか得ている。これらのことから、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、「研究実績の概要」(i)(ii)の結果を組み合わせることにより、まず適応的ではない状況に対して有限周波数特性を厳密に保存する大規模システムの階層化ネットワーク低次元化の理論と手法を与える。さらに、この結果をパラメータが変化する適応的な状況へと発展させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
階層化ネットワークシステムの適応的低次元化のための手法を調査中の平成25年10月に、多次元階層化ネットワークシステムの適応的低次元化の可能性が見出されたため、この理論と手法に関してより深い考察を進める必要が生じた。この多次元階層化ネットワークシステムは、環境問題などで重要となってくる流体力学システムや生体内における化学反応を記述する反応拡散システムなどと密接に関連している。このため、本研究課題の成果をこれらのシステムへの適用可能性という点で飛躍的に発展させる可能性がある。よって、この内容に関してより深い考察を進める必要があり、そのための追加の期間として6ヶ月が必要となった。この追加期間中におけるシンポジウムへの参加、研究打ち合わせや成果発表の費用として、330000円が必要である。 多次元階層化ネットワークシステムの適応的低次元化を遂行するために、まず2014年7月に国際会議The 21st International Symposium on Mathematical Theory of Networks and Systems(オランダ・グローニンゲン市)に参加することにより、流体力学システムや反応拡散システムの数学的理論に関する情報収集を行う。この情報収集による援助を受けて、これらのシステムに適用可能な階層化ネットワークシステムの適応的低次元化に関する理論を構築する。この成果を、計測自動制御学会制御部門マルチシンポジウムなどの国内学会で発表し、国際会議や論文誌へ投稿する。
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Research Products
(4 results)