2014 Fiscal Year Research-status Report
有限周波数特性を厳密に保存する大規模システムの適応的階層化ネットワーク低次元化
Project/Area Number |
25820177
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小島 千昭 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (00456162)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 階層化ネットワークシステム / モデル低次元化 / 有限周波数特性 / 多次元システム / 電力ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度では、理論的な観点からは(i) 分散型固有直交分解に基づく低次元化、(ii) 消散性を保存する低次元化の2つのサブテーマを遂行した。また、応用の観点からは、平成27年度に大規模電力ネットワークの周波数変動の解析を行うための準備的な取り組みとして、(iii) モード分解に基づく電力ネットワークの動揺不安定化現象の解析も行った。 (i)では、前年度に提案した大規模システムの有効な低次元化手法の一つである分散固有直交分解に対して、非線形システムに対する低次元化による近似誤差のよりタイトな上界値も理論的に導出し、国際会議European Control Conference 2014と計測自動制御学会のワーキンググループにて発表した。この成果は、現在論文誌に投稿する準備中である。また、(iii)にも関連して大規模電力ネットワークの適応的低次元化の予備的結果と過渡安定性診断への応用についても導出し、国際会議SICE Annual Conference(2015年7月)にて発表予定である。 また、(ii)については、有限周波数特性より強い概念である消散性を保存する時系列データに基づく低次元化法を導き、国際会議IFAC World Congress 2014において発表した。しかし、時系列データに基づく場合には、(システムが取りうる時系列データの全ての組に対するという意味で)有限周波数特性や消散性は厳密には保存されない問題点が判明した。この点の解決に関しては、今後の課題として残った。 最後に、(iii)は、準備的な取り組みとして、モード分解に基づく電力ネットワークの動揺不安定化現象の解析を行った。この結果は、SICE Annual Conferenceにて発表した。また、日本鉄鋼協会のセミナーでも招待講演を行い、システム制御工学や電力系統工学以外の分野からも高い評価を受けた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、本研究課題のメインパートとなる年度である。当初の目的であった有限周波数特性を厳密に保存する大規模システムの適応的階層化ネットワーク低次元化に関する全ての結果が得られたわけではないが、電力ネットワークに対して準備的な成果が得られるなど、おおむね順調に進展しているといえる。しかし、時系列データに基づく場合には、(システムが取りうる時系列データの全ての組に対するという意味で)有限周波数特性や消散性は厳密には保存されない問題点が判明した。この点については、今後の取り組みによって解決されなければならない。
|
Strategy for Future Research Activity |
「現在までの達成度」で説明した厳密に有限周波数特性が保存されない問題点に関しては、その性質の保存の程度を測る定量的な評価を導出することにより、その問題点を解決する。
|
Research Products
(5 results)