2014 Fiscal Year Research-status Report
サイバーフィジカルシステム論的アプローチによる高信頼な自律分散協調制御
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25820180
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 直樹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80637752)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 協調制御 / 合意問題 / センサネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、システム制御理論と情報通信理論により、物理制約や情報通信制約を考慮した高信頼な自律分散協調制御法を確立することである。平成26年度は、ネットワークによる通信制約を考慮した協調制御に関する研究を行った。まず、リアプノフの安定性理論により、非周期的にエージェントの状態を更新するイベントトリガ型合意ダイナミクスについて考察した。連続時間のイベントトリガ型ダイナミクスとして、エージェントの出力を合意させるダイナミクスや収束速度を向上させるダイナミクスを提案し、合意を達成するための十分条件を導出した。離散時間のイベントトリガ型合意ダイナミクスについても同様に、合意を達成するための十分条件を導出した。また、移流拡散方程式に支配される拡散現象において、拡散物質の発生源を突き止めるセンサネットワーク問題に、合意問題を応用する手法を提案した。本年度はこの他にも、変化点検出や電力ネットワークの発電機起動停止問題への協調制御の応用、耐故障性を考慮した合意問題に関する研究にも取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度はおおむね順調に研究を進めることができた。当初の研究計画の通り、連続時間と離散時間の合意問題に関し、エージェント間の通信制約を考慮したイベントトリガ型の制御則を導出することができた。また、提案制御法の応用例として、当初計画に挙げた移動ロボットシステムだけでなく、センサネットワークを用いた拡散物質の発生源の推定や変化点検出、電力ネットワーク制御に関する研究も行うことができた。これらの研究により、協調制御が幅広い分野に応用できることを示すことができた。平成26年度はこれらの成果をもとに、学術論文誌1本、解説記事1本が採録され、国際学会3件、国内会議7件(チュートリアル講演1件を含む)の発表を行うことができた(いずれも査読付き)。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、平成26年度で得られた成果をもとに、マルチエージェントシステムの合意問題や被覆問題においてエージェント間の通信制約を考慮したイベントトリガ型協調制御についての研究を進める。また、平成26年度での研究と同様に、研究計画で挙げたロボットシステムだけにとらわれることなく、他分野への応用についても積極的に考える。具体的には、近年注目されているカメラセンサネットワークへ協調制御を応用し、複数のカメラ間の協調により、ターゲットの追跡精度を向上させる手法を提案する。さらに、エージェントが利用できるプロセッサ利用率に関する制約を満たすスケジューリング法を導出し、サイバーフィジカルシステムにおけるリアルタイムスケジューリングの基礎的研究を行う。
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Causes of Carryover |
平成26年度に投稿予定であった論文について、平成27年度の投稿に変更したため。なお、研究計画自体に変更は生じていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の投稿予定の論文の掲載費に使用予定。
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Research Products
(11 results)