2015 Fiscal Year Research-status Report
サイバーフィジカルシステム論的アプローチによる高信頼な自律分散協調制御
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25820180
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 直樹 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80637752)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 協調制御 / 合意問題 / マルチエージェントシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、物理制約や情報通信制約を考慮した高信頼な自律分散協調制御法を確立することである。平成27年度は、ネットワーク通信の帯域に関する制約を考慮した協調制御の基礎研究を行った。まず、必要なときにのみエージェントの状態を更新する事象駆動型合意ダイナミクスについて考察し、リアプノフの安定性理論や勾配アルゴリズムの収束性に関する議論を用い、通信回数を削減しつつ合意を達成するための十分条件を導出した。また、代表的な被覆制御の一つであるボロノイ被覆制御についても考察し、事象駆動型の制御則で被覆が実現できることを示した。さらに、これらの基礎研究の成果を応用したカメラセンサネットワークを提案した。カメラセンサネットワークによる協調追跡では、カメラのターゲットへの割り当てと割り当てられたターゲットの追跡を行う必要がある。このうち、ターゲット割り当て問題を解くためには、カメラやターゲットの位置などの大域的な情報が必要であり、また計算量も大きくなるため、限られた計算資源しかもたないカメラエージェントのみで解くことは一般に困難である。そこで、提案手法では大域的な情報を扱うことができるコーディネータを導入した2-レベル階層型のカメラセンサネットワークを提案し、複数のカメラがターゲットを協調して追跡できることを示した。本年度はこの他にも、収束速度の向上を目的としたマルチホップ通信や通信の量子化制約を考慮した合意制御、ネットワーク化通信におけるスケジューリングに関する研究にも取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度はおおむね順調に研究を進めることができた。当初の研究計画の通り、エージェント間の通信制約を考慮した事象駆動型の制御則や量子化誤差を考慮した制御則を導出することができた。また、提案制御法の応用例として、カメラセンサネットワークによる協調追跡に関する研究も行った。これらの研究により、提案手法が幅広い分野に応用できることを示すことができた。平成27年度はこれらの成果をもとにした学術論文誌3本が採録され、招待講演1件、国際学会3件、国内会議8件(チュートリアル、ワークショップ講演3件を含む)の発表を行うことができた。また、マルチエージェントシステムの協調制御に関する教科書を同分野に関する複数の研究者とともに共著として発刊した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、平成27年度で得られた成果をもとに、マルチエージェントシステムの合意問題や被覆問題においてエージェント間の通信制約を考慮した事象駆動型協調制御についての研究をさらに進める。平成27年度は合意問題に焦点を絞って研究を進めてきたが、平成28年度はこれまでの成果に基づき、協調制御による分散最適化について考察する。また、平成27年度の研究では協調制御の工学的応用として、ある決まった場所に固定されたカメラからなるカメラセンサネットワークの追跡問題に関する成果を得たが、平成28年度の研究ではこの成果をさらに発展させ、ドローンなどの移動型エージェントに搭載されたカメラによるターゲット追跡について考察する。さらに、これらのマルチエージェントシステムを適切なタイミングと順番で運用するのに必要不可欠な理論であるスケジューリングに関する基礎的研究を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度に参加予定であった国内会議について、平成28年度開催の別の国内会議に変更したため。なお、研究計画自体に変更は生じていない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に参加予定の学会参加費等に使用予定。
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Research Products
(16 results)
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[Presentation] Distributed Event-triggered Control for Voronoi Coverage2015
Author(s)
Naoki Hayashi, Yu Muranishi, and Shigemasa Takai
Organizer
The 1st IEEE International Conference on Event-Based Control, Communication, and Signal Processing (EBCCSP2015)
Place of Presentation
AGH University of Science and Technology, Krakow, Poland
Year and Date
2015-06-17
Int'l Joint Research
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