2013 Fiscal Year Research-status Report
情報量評価に基づく制御-通信融合系の性能限界の解析と設計法の構築
Project/Area Number |
25820182
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
新銀 秀徳 山口大学, 理工学研究科, 助教 (60535243)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | システム制御 / 性能限界解析 / 有界ノイズ / SN比 |
Research Abstract |
有界なノイズを受ける制御系について、推定と制御に必要なSN比(信号‐ノイズ比)の限界値を解析的に明らかにした。離散時間の線形システムを対象として、振幅の上限が既知であるノイズによって乱される信号伝送路を介して推定および制御を行う状況を想定した。推定則と制御則については、いずれも伝送路の入口側と出口側の双方に配置することができ、時変性や非線形性、不連続性を許容するネットワーク化制御系の広い枠組みを採用した。SN比については、ノイズと伝送路を流れる信号の振幅の上限の比として評価した。その上で、推定においては制御対象の内部状態に対する推定値の誤差の大きさを、制御においては状態そのものの大きさを抑制するために必要なSN比の下限が、制御対象の不安定な極の積の絶対値をもちいて表わされることを明らかにした。不安定固有値の積は制御系の性能限界を表わす重要な指標として知られており、古典制御では感度抑制限界を表わすボードの積分公式が、近年では制御や推定に必要な離散通信路のビットレートおよびガウス通信路の分散で評価したSN比の限界式が示されている。したがって、本結果は不安定固有値の積に対して新たなシステム論的意味を与えている。特に、このような有界ノイズの下での推定と制御に関して、確率的な設定の下では0次エントロピーの最小減少量として定義した0次情報量の最小化の意味を持つという情報理論的な解釈を与えた。また、推定則と制御則を状態推定のためのオブザーバや状態フィードバック制御則の併用により構成するための方策を示している。さらに、本研究の成果を応用し有効性を実証するための装置として、小型無人航空機に対する無線通信を介したフィードバック制御系を構築した。制御対象の小型無人航空機は、姿勢角を搭載センサで計測し、ラダー、エレベータ、エルロンを操作することができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有界なノイズの下で推定と制御に必要なSN比の限界を明らかにすることができた。また、不安定極の積という制御システム論において重要な意味をもつ量について、新たなシステム論的および情報論的な意味を与えることができた。小型無人航空機への応用については、必要な実験環境を整えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果を多次元の通信路を介した制御系へと拡張し、多様な通信形態に適用可能な理論へと拡張する。また、制御系が達成することのできる制御性能についても定量的に評価し解明してゆきたいと考えている。小型無人航空機をもちいた応用実験については、画像情報の効率的な取得と処理、ならびにノイズ下での無線通信にもとづく飛行制御に対して研究成果を適用し、直線および旋回飛行の試験を通してその有効性を検証する予定である。
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