2014 Fiscal Year Research-status Report
最適制御の逆問題を応用したPID型分散制御に基づく真の分散制御実現を目指した研究
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25820183
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
國松 禎明 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (30379309)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 分散制御 / PID制御 / 最適制御 / ロバスト性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度における研究実績の概要は以下のとおりである. 1) ノルム有界型の不確かさを有するシステムに対して対角構造とは限らない任意の制御器構造を有する分散型PID制御を提案し,ロバスト安定化を実現する設計手法を与えた.特に,ノルム有界型の不確かさを有する非干渉化行列が制御系全体のロバスト安定性に大きく関わっていることを示し,非干渉化行列に関する条件を満たした設計を行ったのちに,ゲインを大きくすることで制御系全体をロバスト安定化できることを示した. 2) 分散型PI制御器と並列フィードフォワード補償器を用いて相対次数制約のない分散制御手法を提案した.特に,不安定零点を持たないシステムに対しては,安定系・不安定系問わず適用可能な設計法を提案した.また,これまで適用が難しかった不安定零点を有する系に対して,一部の安定系に限り並列フィードフォワード補償器と分散型PI制御器によって,安定化可能であることを示した. 3) 分散型PI制御器と並列フィードフォワード補償器の導入によって得られた高次相対次数に対するこれまでの成果を,1入出力系に限定して再考察することで,高次相対次数に対するPID類似型制御として設計法を提案した.特に,閉ループ系が安定となるための制御器のパラメータ数や次数について,相対次数と関係があること示した.加えて,これまで分散制御系では得られていなかった制御理論的な解釈を得ることができたほか,モデルフリー制御への可能性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の進捗状況から,研究はおおむね順調に進展していると考えている. 1) ノルム有界型不確かさを有するシステムに対してロバスト安定化を実現する設計法を与えることができた. 2) 分散型PI制御器と並列フィードフォワード補償器を用いる分散制御手法について,不安定系だけでなく,これまで考慮されていなかった不安定零点を有するシステムに対しても一部の安定なシステムに対して安定化を実現できる手法を示した. 3) 任意の制御器構造を持つ分散制御系について,ノルム有界型を有するシステムに対して,安定化およびロバスト安定化が実現できる設計法を与えた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では,以下の研究を中心に推進していく予定である. 1) モデル化誤差やモデルに不十分なところがある場合でも,これまで提案した分散制御手法を用いて,どこまで安定化可能であるか検討する. 2) 分散型PI制御器と並列フィードフォワード補償器を用いる分散制御手法について,さらなる適用範囲の拡張が可能かどうか検討する. 3) ロボットアームにこれまで提案してきた分散制御手法を適用することで,有効性を確認する.
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Causes of Carryover |
年度当初は申請時に計上していなかった人件費または謝金を見込んでいたが,先方の都合がつかなくなり中止となったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シミュレーションおよび実験をサポートするソフトウェアの購入を見込んでいる.また,実際の助成額は申請時から減額されているため,その減額分にも充てる予定である.
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