2014 Fiscal Year Research-status Report
システムノイズを最大限除去する真に実用的な非線形確率最適制御理論の構築
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25820184
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
西村 悠樹 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (20549018)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 確率システム / 安定論 / 非線形制御 / 最適制御 / 外乱減衰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は,システムを高効率かつ安定的に運用するため,すなわち,システムノイズを最大限除去しつつ最適化と安定化を実用レベルで達成するための非線形最適確率制御理論を構築するものである。 非線形確率最適制御のキーポイントは安定化・最適化・外乱抑制の3つであるが,これらの保障をより高度なレベルで達成するための理論を構築する。特に着目する点としては,従来理論の安定性で曖昧であった「100%の確率での目標値への整定」について詳細に考察する。また,確定システムにおける最先端の外乱抑制に関する理論である積分入力状態安定性(iISS 性)を確率システムに採用することを試みる。これらを元に,解軌道そのものの最適制御理論を構築し,非線形確定システムの外乱抑制制御理論を積極的に取り込み,実用的な安定性・有界性・外乱抑制性を達成しつつ最小コストで運用するための方策を新たに立てることが本課題の主目的である。 二年目である当該年度においては,システムのダイナミクスを特定の有界領域に確率1で留めるための概有界化設計および確率iISS性理論の構築のために以下の研究を行った。まず,確定システムと確率システムにおける安定性の違いを事細かに調査した。特に,収束速度に関連して確率システムの安定性が変化することを突き止めた。次に,システムへの外乱が周期外乱である場合と不規則外乱である場合において安定化を達成するようなフィードバック則を考察し,確率システムにおける新たな安定性の概念として疑似概漸近安定性を提案した。また,構築予定の理論を応用面から考察するため,超音波モータのサーボ機構についても継続的に改善を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目的は,システムのダイナミクスを特定の有界領域に確率1で留めるための概有界化設計の構築であった。 まず,昨年度に得られていた概不変集合への安定化条件が極めて厳しいものであることから,安定性の定義を緩和することを念頭に置いて研究を行った。その結果として,確率漸近安定性を保証する確率リャプノフ関数の形を二回連続微分可能に限らないようにすることで,確率漸近安定化できるシステムのクラスを拡大できることが分かった。また,平衡点の安定化ではなく,平衡点の期待知への安定化と制御目的を緩和することにより,疑似概漸近安定性と安定化フィードバックについて提案することとなった。 以上の結果は,従来の制御手法である,スライディングモード制御を用いた外乱抑制制御のような問題設定に理論的見通しを強く与え,また制御性能の向上に寄与するものである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,いよいよ実用的非線形確率最適制御理論の構築である。従来型の安定化や最適化が本課題でこれまでに明らかになってきた結果とどのように繋がるかを詳細に検討する。確率ISS/iISS性についても考察を行う準備をしており,これらを合わせて非線形最適制御理論における外乱抑制制御の方法論を新たに構築していきたい。
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Causes of Carryover |
本課題で主として得られる理論の応用的実証として超音波モータのサーボ制御を計画しているが,その改善に取り組む時間的余裕がなかったことが主な理由である。また,論文投稿も予定より遅れているため,予定していた支払いがなかったこともある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費は、実験関係の消耗品、シミュレーション関係の情報機器関連費、研究用図書の購入に充てる予定である。旅費は、海外出張二件と国内会議二、三件を予定している。人件費・謝金は予定していない。その他としては学会参加費、論文投稿料等を予定している。
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