2016 Fiscal Year Research-status Report
鋼構造物における地震時脆性破壊発生機構の解明と汎用性の高い限界状態評価手法の提案
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25820199
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 洋 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (10636434)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 修正ワイブル応力 / 鋼製橋脚隅角部 / 地震時脆性破壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,地震時脆性破壊の発生が懸念され,かつ破壊リスクの評価手法の早期確立が望まれている既設鋼製橋脚の隅角部を対象に,修正ワイブル応力に基づく脆性破壊移行限界評価に着手した. 実在する鋼製橋脚の形状・使用鋼板は多岐にわたるため,まずはその実態を確認し,既設橋脚を幅広くカバーするためにどのように研究を展開するのかを検討した.その結果,まずは最も標準的な箱断面門型ラーメンを対象とし,フランジとウェブの板厚と板幅をパラメータとして変え合計11脚の既設橋脚を設計し対象に加えた.また隅角部を構成する鋼板の鋼種はSM490を想定した(実績調査結果を参照).後述の理由により平成29年度に検討を先送りすることとなったが,別途,逆L字型の箱断面単柱ラーメンと2層式ラーメン橋脚も対象とすることを決めた. 箱断面門型ラーメン橋脚については,すべてについて有限要素モデルを作成した.想定される破壊起点については溶接部の止端半径と初期亀裂深さが脆性破壊移行限界に大きく影響を及ぼすと予想されるため,止端半径と初期亀裂深さが異なる多くのモデルを用意し解析を行った.解析と修正ワイブル応力に基づく破壊リスク評価から,フランジの板厚に対してウェブの板厚が大きい隅角部ほど脆性破壊の発生リスクが高いことが明らかとなった.さらに,対象としたどの板厚と板幅の組み合わせにおいても止端半径と初期亀裂深さの影響が大きく同じような傾向を示すことが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
解析補助業務を担当する研究協力者を得ることができず,計画に遅延が生じた.様々な諸元の鋼製道路橋脚を対象とした有限要素解析を進めているが,汎用性の高い鋼製道路橋脚隅角部の限界状態予測式を提案するにあたり,検討すべきパラメータの数が計画時の想定より多いことも明らかとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は解析モデル作成の協力者を得ることできたため,逆L字型の箱断面単柱ラーメンと2層式ラーメン橋脚も対象として解析を行い,支配的パラメータを特定するとともに橋脚の耐震設計に実装することを念頭に汎用性の高い地震時脆性破壊の限界状態予測式の提案を目指す.そして,予測式の適用範囲を明らかにする.
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Causes of Carryover |
まず当該年度において解析の担当者を得ることができなかった点が挙げられる.予算計画では人件費を計上していたが,解析担当者が得られなかったことで解析作業が大きく遅延した. また,検討の中で調査すべき橋脚のパラメータが多いことも明らかとなった. 以上の理由により研究が遅れ,人件費が残っただけではなく,成果発表のための旅費や論文投稿のための経費が残る結果となってしまった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
解析モデル作成の協力者を得たため,平成29年度の5月からの人件費として一部使用する.また成果発表のための旅費や論文投稿料,追加の資料収集などに残額を充てる計画である.
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