2014 Fiscal Year Annual Research Report
河川感潮域における固化処理地盤の軟化の進行予測に関する研究
Project/Area Number |
25820215
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
原 弘行 山口大学, 理工学研究科, 助教 (00588709)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 土質安定処理 / セメント処理土 / 石灰処理土 / 海水 / 劣化 / 温度 / 変質 / カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
海水曝露環境下における固化処理土の耐久性評価の基盤となる知見を得るため,まず,セメントおよび石灰で固化処理した地盤の劣化の進行に影響する主な要因を抽出し,それらの影響を定量的に評価した.本実験では,固化材の種類・添加量,海水の濃度,温度をパラメータとして長期間に亘る海水浸漬実験を行い,固化処理土の力学的性質の空間分布を経時的に求め,劣化の進行に及ぼす各種要因を調べた.得られた研究成果は次のとおりである.1) 固化材の種類や温度などによらず,固化処理土の劣化領域は海水との接触時間の平方根に比例して拡大する.2) 海水の濃度が高い場合ほど劣化の進行速度は速い.3) 固化処理土の劣化の進行速度は固化材添加量が少ないものほど速い.また,劣化速度は固化材の種類にかかわらず,添加したカルシウム量に左右される.4) 劣化速度の温度依存性はアレニウスの法則に従って,温度が高い場合ほど速く進行する.5) 劣化に影響するパラメータを考慮した簡易な劣化の進行予測式を示した. 次に,上記実験を実施するなかで,固化材添加量等の条件次第では海水-処理土の界面付近に変質が生じるケースがみられた.当該変質部が劣化の進行に影響する可能性高いとみられたため,変質の発生機構ならびに劣化の進行に及ぼす影響について調べた.得られた研究成果は次のとおりである.1) 観察・分析結果から,変質部は3μm程度の球状の物質の集合であり,その化学組成から水酸化マグネシウムと推定できる.2) 変質部はその緻密な構造によって,カルシウムの溶出,ひいては力学的劣化を抑制する効果がある.
|