2013 Fiscal Year Research-status Report
ミクロな土構造に着目した防波堤マウンドの破壊メカニズムの解明と設計法の高度化
Project/Area Number |
25820219
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Independent Administrative Institution Port and Airport Research Institute |
Principal Investigator |
高野 大樹 独立行政法人港湾空港技術研究所, その他部局等, その他 (80626218)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地盤工学 / X線CT / 画像解析 / 粒状体 |
Research Abstract |
本研究は、津波により生じる大きな浸透流を受ける防波堤マウンドの破壊メカニズムの解明、さらにその耐久性を向上するための設計法の高度化を最終的な目的とする。H25年度は、粒子のサイズや形状に代表されるミクロな土の構造に着目し、マイクロフォーカスX線CTを用いて大きな浸透流を受ける地盤の破壊過程を可視化、定量的に評価することによりミクロな視点から水・土の連成挙動の解明を試みた。 実験は、比較的粒径が大きい珪砂を対象にX線CTスキャナ内で三軸圧縮試験を行い、試験中における供試体の3次元画像を取得した。得られた3次元画像に対して、画像解析手法を用いて、土の変形挙動の定量的な評価を試みた。具体的には、CT画像にパターンマッチング手法の一つであるDigital Image Correlationを適用することで、土供試体内の変位場、ひずみ場の解析を行った。この結果、ピーク応力が発揮されるまでの均一的な変形から残留応力に至るまでの局所的な変形を定量化することに成功した。 さらに、X線CTを用いた実験結果および画像解析結果から得られた土のミクロな構造を基にPDS-FEM(Particle Discretization Scheme Finite Element Method)を用いた粒状体の変形・破壊挙動の数値シミュレーションを試みた。PDS-FEMは互いに重なり合わない形状関数を用いることで、固体の破壊現象を精度よく再現できる手法である。今年度行った解析では、解析メッシュにCTから得られたミクロな土粒子の構造を取り込み、線形弾性モデルといった単純な構成モデルを用いても、三軸圧縮試験における砂の力学的挙動を比較的精度よく再現できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標として、X線CTを用いた三軸圧縮過程の粒状体材料の変形挙動の定量的評価に重点を置き要素試験を行った。実験装置の開発および解析手法の確立はほぼ完全に目標としていた成果が得られている。また、これに加えてミクロな土粒子の構造に基づく数値シミュレーション方法を開発し、実験の再現を試みている。本研究の目的は早い流れと粒状体材料の相互作用を解明し、防波堤設計の高度化を試みるところにあるが、浸透とせん断を連成させた実験については現在も進行中である。このように研究の核となる室内試験は順調であり、全体としてはおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
室内試験に関しては現在行っている三軸圧縮下における土供試体の変形挙動をX線CTおよび画像解析を用いて定量的に評価していく。特に、浸透流を作用させた条件での実験を重点的に行い、早い流れと土の相互作用メカニズムについて検討を行う。また、これらミクロな挙動に基づき、実際の防波堤の構造がどのように不安定化するのかを、遠心模型実験およびPDS-FEMを用いて検討を行う。PDS-FEMをもちいた数値シミュレーションでは、土と水の相互作用を簡単なモデルで記述できるように改良を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
三軸圧縮装置内の浸透流を発生させるパーツの仕様が今年度行った実験結果を検討した結果,必要流量や必要流速を満足させるために当初予定から若干変更する必要が生じたためこの部分の装置の改良を次年度へ持ち越すこととした. 次年度の予算と合わせて実験装置の改良に使用する予定である.
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