2016 Fiscal Year Research-status Report
新石垣空港開港に伴う環境変動と浅海域物質循環の解明
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25820229
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
寺田 一美 東海大学, 工学部, 准教授 (30547998)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マングローブ / サンゴ礁 / 海草 / 生息分布マップ / マイクロプラスチック / 流量 / 濁度 / 栄養塩 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.新石垣空港開港後の土地利用変遷とマイクロプラスチック 本年度は観光人口の増加により予期されるゴミ発生量の増加に着目し、海岸ゴミ、特に5mm以下のプラスチックゴミ(マイクロプラスチック)の調査を行った。石垣島の東西南北それぞれの沿岸域で、20cmの方形枠(コドラード)を用い、5cm深の表土を採取し、AIO法(Nuelle et al., 2014)に基づきプラスチックを抽出し、FTIRを用いて成分分析を行った。その結果、表土中のマイクロプラスチックの密度は石垣島東部に位置する白保海岸が最も高く、漂着ゴミ(特に海外製のペットボトル、漁具等)の影響が大きいと考えられた。 2. マングローブ、海草藻場、サンゴ礁の生息分布の経年変化 昨年度に引き続き季節毎に吹通川沿岸域の海草・サンゴ生息分布調査を行った(2016年5、9、12月、2017年3月)。昨年設定した200mメッシュの定期モニタリング地点(18地点)に加え、サンゴが密生している2地点も新たに追加し、調査を行った。2016年夏は世界的にもサンゴの白化が進んだ年であり、吹通川沿岸でもほとんどのサンゴが白化していた。また、これまでの調査により蓄積したサンゴ・海草生息記録を、地図上に時系列で表示するwebサイトを開設、公開した。その成果は2017年3月の第64回日本生態学会大会にて発表した。 3.マングローブ-海草藻場-サンゴ礁間の物質輸送量 吹通川河口で流量、水質測定(濁度、懸濁態物質、窒素、リン等)ならびに、海草・サンゴ域での多点水質調査(塩分、溶存酸素、窒素、リン等)を行った。また初年度に導入した自記式濁度計を用いて、マングローブ河口、海草藻場の濁度変化を計測した。採取した水サンプル中の栄養塩分析(窒素、リン)およびSS分析が終了し、SontekIQを用いて測定した流量の時系列データと合わせ、次年度解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海草・サンゴ礁のモニタリング体制が整い、webサイトも新設、公開に至り、当初の目標に掲げた生息分布調査は軌道に乗ったと思われる。今後種の判別、密度等、解析を進めていく。また、プラスチックごみの調査も開始したことにより、環境変化をより多角的に検証していくことが可能になった。新空港開港から3年後の吹通川河口の物質循環(フラックス)を調査したが、開港前後の変化の有無、詳細なメカニズムの解明に向けて引き続き研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
1.新石垣空港開港後の土地利用変遷 ホテルや観光施設の増加等GISソフトウェアを用いて土地利用変遷を調査していく。 2.マングローブ、海草藻場、サンゴ生息分布 計20地点での定期モニタリング、webサイトによるデータ公開を引き続き進めていく。現地協力者および地元住民に広くwebサイトの存在を周知し、利用環境を整えていく。また種・生息密度の判定などを進めるべく、底質の調査も併せて進めていく。 3.マングローブ-海草藻場-サンゴ礁間の物質輸送量 2016年夏に行った調査結果を整理し、マングローブ河口、海草藻場の濁度変化や流量、物質フラックスを算出、学会・論文等で発表する。また本年も現地調査を行う予定だが、昨年度雨天・曇天で予定変更になった点があったため、さらに余裕を持った日程調整・準備を行うこととする。
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Causes of Carryover |
産休・育休により中断した期間の残金があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度の現地調査旅費および現地協力者への謝金として使用予定。
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