2015 Fiscal Year Annual Research Report
交通需要誘出を内生化するメカニズムデザインの理論的・実験的アプローチ
Project/Area Number |
25820236
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原 祐輔 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (50647683)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 交通計画 / メカニズムデザイン / 選好誘出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は観測された交通行動や表明された交通需要には表れない交通行動に対する選好を誘出させ,その誘出させた選好を用いて社会的厚生を高めるメカニズムデザインを理論的・実験的アプローチに基づき,構築することを目的としたものである.この研究は既存のパーソントリップ調査やプローブパーソン調査,SP調査等でも観測できない交通需要選好の誘出をめざし,新たな交通サービス設計に活かすものである. 最終年度は選好誘出メカニズムに対する反応をみる被験者実験を行った.Web調査によって集めた1650名に対し,3つの選好表明メカニズム下において交通サービスの支払い意思額を提示する実験を行った.本実験ではランダム割り付け実験であり,被験者群は単一の母集団として扱うことが可能であるが,選好表明メカニズムの違いが被験者の支払い意思額の表明の仕方,特に表明数について大きな影響を与えることを実験から明らかにした.また,本研究が提案する選好誘出メカニズムを用いることで,表明数を増大させるだけでなく,薄い市場となる財への表明数を増加させることで,社会的厚生そのものを高めることができることを実験的に示した.これは前年度に行った理論解析やシミュレーション実験の結果と整合する内容であり,理論的に提案した選好誘出メカニズムを被験者実験を通して有効性を確認することができた.これらの選好誘出メカニズムが有効に機能する原因としては,選好表明に対する認知コストを低減することに起因していると考えられる.その認知コストを実験から得られたデータを用いて推定を行い,認知コストが選好表明数に与える影響を明らかにした.これらの知見は今後の交通サービス設計において有用な知見となると考える.
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