2013 Fiscal Year Research-status Report
郊外住宅団地における住民運営型地域交通による地域力向上に関する研究
Project/Area Number |
25820242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
猪井 博登 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70403144)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 地域交通 / 社会調査 / ソーシャルキャピタル / 官民連携 / 参与型研究 / エンパワーメント |
Research Abstract |
ソーシャルキャピタル指標の構築については、地域活動などの参加状況を中心とした項目を選定し、指標を構成し、ケーススタディ地域でWave1調査に反映した。 移動の困難さを表す指標では、社会的必需項目およびCapability Approachをもととした移動に関する社会的排除者の特定方法をもとに提案した。具体的には、18の社会的必需項目を調査項目として設定した。加えて、排除基準の設定をケーススタディ地区で行った調査を元に設定し、1項目でも先の社会的必需項目を満たしていない場合、移動の困難な状態にあることを示し、指標とした。 参与型研究では、兵庫県西宮市生瀬地区をケーススタディ地区として、1週間の社会実験を企画する参与型研究を実施した。その結果、地域自治会の負担による社会実験の実施について合意を行い、実験を実施した。実験に際しては、運行事業者のタクシー事業者の支援を得ながら住民自身が運行ルート、ダイヤを設定した。社会実験では、720名の利用者が有り、社会実験としては、地域に移動を必要とするものがいることを示すことができた。また、計画面以外にも、実験実施に際し、地域住民の参加が運行の実現に寄与していた。議論を行う上でも、具体的に検討する題材としても、社会実験を設定したことは望ましいことがわかった。 この参与研究を行っているケーススタディ地区でも、住民の参加の度合い住民調査Wave1にて調査を行った。その結果、住民運営型地域交通に対する負担意向が過半数において反対であることがわかった。この数字から啓発活動や討議が必要であることが示された。 以上の結果を受け、引き続き、1ヶ月程度の有償社会実験の実施を題材に参与研究を行った。住民参加を実現するため、行政の支援制度の整備を促した。行政の支援制度が構築され、負担する者が「利用者」、「地域住民」、「行政」となり、社会実験を実施する環境を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
指標の作成、住民運営型地域交通に関する参与型研究など本年度に予定していた研究内容にほぼ満足できる内容が実施することができた。 住民運営型地域交通に関する参与型研究については、研究の進展だけで決められず、住民との議論の熟度が関係するため、研究の進行管理には注意が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きケーススタディ地区における1ヶ月程度の有償社会実験の実施を題材に参与研究を展開する。地域交通の負担を「利用者」、「地域住民」、「行政」で行うようになったが、どのような負担割合をとるべきかが明らかになっていない。本年度までの参与型研究によって、路線ルート、ダイヤなどの運行に必要な項目については住民地震で議論合意できるものの、今後の検討課題としては、運行を継続する仕組み作りが最も大きな検討課題となる。具体的は、「利用者」、「地域住民」、「行政」の負担割合を議論、合意を行う。 この議論・合意を促進する仕組みとして、ソーシャルキャピタルの蓄積を設定し、本研究で想定を行う。具体的には、住民調査Wave2を行い、社会実験の実施や、住民運営型地域交通の取り組みを通じてソーシャルキャピタルの蓄積が行われているかを検証する。
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Research Products
(5 results)