2013 Fiscal Year Research-status Report
新規開発した乱流測定システムによる沿岸域のCO2交換量の再評価
Project/Area Number |
25820259
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Independent Administrative Institution Port and Airport Research Institute |
Principal Investigator |
所 立樹 独立行政法人港湾空港技術研究所, その他部局等, その他 (70543859)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | CO2 / 沿岸域 / 大気―水圏間フラックス |
Research Abstract |
本研究では,沿岸域で適用可能な新規の大気-水域間CO2フラックス測定システム(水面乱流測定システム)の開発と検証を目的とする.今年度は本システム用の係留ブイを作成し,室内実験水槽を使って,装置による水面の乱流に与える影響を測定した. 上記水面乱流測定システムは,装置が常に水面に追随し,流れの上流側にセンサーとなる3次元流速計が向く必要がある.これらの仕様を満たすために,係留ブイはメインブイ1つとサブブイ2つからなるトリマラン構造とした.また,サブブイは取り外しが容易な構造として,研究者が所属する港湾空港技術研究所の室内実験水槽で使用できる構造とした. 係留ブイによって生じる水面への乱流を検証するために,上記室内実験水槽において流動実験を2014年の2月に実施した.流動条件は,一般的な湖沼の条件を考慮して,一様流(5, 10, 15 cm/s)と往復流(周期4秒 振幅10, 15 cm/s)の5パターンとした.それぞれの条件において3次元流速計を水槽に固定した条件と係留ブイに搭載した条件で比較し,係留ブイで測定した乱流と実際の乱流との差異を測定した. 流動スペクトルの解析結果から,上記条件では一様流では測定した乱流に明確な差異は生じておらず,補正なしで水面付近の乱流を測定できることを確認した.しかしながら,往復流の条件では,係留ブイに搭載した場合,水面付近の乱流を過大評価していたことが明らかとなった.往復流の周期である4秒付近の領域で乱流の増加が見られたため,この差を補正することで,往復流の条件下でも正確な測定が可能であると予想される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請時の目標である水面乱流測定システムの基本的な設計は完了した.また,室内実験でも検証可能な構造とする等,当初予想していた設計よりも改良されたものとなった.このことにより室内実験を実施するなど,当初の目標よりも多くの実績を得ることができた. 一方,もう一つの目標であった係留ブイへの波の影響の補正式の確立は未達成である.これは,当初予定を変更し,補正式の確立のために上記室内実験のデータを用いることにしたためである.係留ブイの開発スケジュールの都合上,室内実験は年度末付近となったため,当該年度中に上記目標を達成することは不可能であった.しかしながら,今後より実証的な補正式を確立できる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度に達成できなかった波の影響の補正式を確立する予定である.これまでの室内実験による結果から,流れの往復成分の周期の領域で乱流の強度が増加していることが判明しているため,この増加分の除去方法と流速振幅や波高などの波の強度指標との関係の経験式を構築することで,補正式を確立できると予想している. また,水面乱流測定システムの野外での検証を行う予定である.当初の予定では2つのサイトで1-2回程度行うことを想定していたが,装置開発費が増加したことと,室内実験での検証が可能となったことを考慮して,1,2か所のサイトで合計2回程度とする予定である.野外調査では,波高計などの波の強度指標の測定機器と,水面乱流測定システムの検証ためのフローティングチャンバー式CO2フラックス測定装置を併用する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度に開発した係留ブイの設計を改良したため,物品費が当初予算よりも増額となった.また,開発業者の選定・打ち合わせのために計上していた旅費が実際には必要では無かった.これらの理由により,当初計画していた内訳と実支出額との間に差異が生じたため. 上記の装置開発費の増額のために,次年度の野外調査に要する旅費と操船費などの人件費の使用予定額を削減しているため,次年度使用額はこれらの充填に使用する予定である.
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