2013 Fiscal Year Research-status Report
木材への破壊力学の明確化とドリフトピン接合部への応用
Project/Area Number |
25820267
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
野口 昌宏 高知大学, 自然科学系, 講師 (80420298)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ドリフトピン / Hillerborgの仮想クラックモデル / 木材 / 破壊力学 / 割裂 |
Research Abstract |
破壊力学(Hillerborgの仮想クラックモデル)の木材への適応性および適応範囲を実験的に明らかにする目的で、最もシンプルな形状のCT試験体を用いて、繰り返し加力のオフセット法(M. Wecharatana et al: Cement and Concrete Research,1980)で試験をした。 その結果として、割れ長さと吸収エネルギーの関係が明確に示すことが出来、割れ長さと吸収エネルギーが比例関係と近似できる関係であることを明らかにした。このことから、破壊力学(Hillerborgの仮想クラックモデル)の木材への適応性があると断定する根拠が得られた。また、スギ、ヒノキ、ベイツガ、ベイマツ、カラマツ、ホワイトウッドと樹種の条件を変化させた試験を行った。その結果、カラマツは少し適応性が低いが、他の樹種では適応できることを明らかにした。また、試験後、本研究室所有の電子顕微鏡(HITACHI)を用いて、割れ破壊面を顕微鏡観察し、ミクロレベルの破壊性状、不連続の割れの正体など、現象論からも検討し、木材の割れは、初期はミクロな割れの分散状態であるが、それがつながりマクロな亀裂に成長し、その後、破壊力学にのるような裂きイカを引き裂くような割れに進展することを明らかにしました。この現象の初期は、まさに、Hillerborgの仮想クラックモデルと同様の現象であり、強度実験データ、及び、電子顕微鏡観察両面から、Hillerborgの仮想クラックモデルの木材への適応性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験方法について、試行錯誤が続き、少し遅れぎみとなったが、主目的である「木材の破壊力学の適応性が明確な形で明らかにできた」という成果が得られたため、今後急速にペースを上げることができると判断し、おおむね順調に進展していると自己評価しました。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)「木材の割れ現象は、破壊力学、又は、横引張強度のどちらで表現できるか、またその適応範囲」を明らかにするため、同上のCT試験体の全ての寸法を1/2、1、2、3、4、5倍した相似形状の試験体を作製し、相似側について実験的に明らかにします。また、理論上の相似則と比較することで、破壊力学、又は、横引張強度のどちらで表現できるかを判断します。また、樹種特性も考慮して、スギ、ヒノキ、カラマツ、欧州アカマツ、ベイマツ、ホワイトウッドを用いる。なお、5倍した試験体寸法は、1m×0.5mと材料試験体としてはきわめて大きくなり、製材では試験体作成が不可能なため、大断面集成材で試験体を作製する。試験体は大きいが、割れ破壊試験のため、計算上強度はそれほど大きくなく、申請者の研究室所有の万能試験機(テンシロン10ton)で十分試験が行えると考えています。 (2)複数本ドリフトピン接合部の新しいモデルの構築を目的としてドリフトピン接合部の強度試験を行います。パラメータは、ドリフトピン本数(1~5本)、端距離(3d,5d,7d)、ピン間隔(3d,5d,7d)、樹種(スギ、ヒノキ、欧州アカマツ)と設定し、多くの条件での実験データを収集します。他方、コンピュータシミュレーションでの理論上の傾向を把握します。その二つの知見を参考として、新しいモデルを構築していきます。この流れで、今まで申請者は、多くの新しいモデルを構築してきており、実績はあります。試験は、申請者の研究室所有の万能試験機(テンシロン10ton)を用い、計測はデータロガー(協和電気)で行います。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該助成金が生じた状況:当初より2年間の計画のため、当初計画のとおり、次年度使用額が生じている。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画:平成25年度終わらなかった以下の2つの小課題を解決するために、消耗品、備品関連に使用します。また、成果の公表のために、旅費を使用します。 (1)「木材の割れ現象は、破壊力学、又は、横引張強度のどちらで表現できるか、またその適応範囲」を明らかにするため、CT試験体の相似形状の試験体を作製し、相似側について実験的に明らかにします。(2)平成26年度は、複数本ドリフトピン接合部の新しいモデルの構築を目的として、ドリフトピン接合部の強度試験、コンピュータシミュレーションを行い、その二つの知見を参考として、新しいモデルを構築していきます。
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