2015 Fiscal Year Research-status Report
鉄筋コンクリートの中性化・鉄筋腐食に及ぼすジャンカの影響に関する研究
Project/Area Number |
25820278
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
土屋 直子 国立研究開発法人建築研究所, その他部局等, その他 (60646636)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コンクリート / 鉄筋腐食 / 豆板 / 吸水乾燥繰り返し |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、鉄筋コンクリート部材において、健全部より劣化を促進させる可能性が高い内部欠陥を有した場合に着目し、鉄筋コンクリートの豆板(ジャンカ)が、劣化速度に及ぼす影響について把握することを目的とするものである。RC建物ストックを効率的に使用していくことが望まれている社会の中で、劣化や損傷に対する長期利用に向けた措置を講じる際の有用な技術知見となる。劣化要素としては中性化および鉄筋腐食をとりあげた。 H26年度では、中性化促進実験により豆板の鉄筋との位置関係、容積、密度と中性化速度の関係を把握したため、H27年度では、豆板が鉄筋腐食に及ぼす影響について検討を行った。 コンクリート中の鉄筋の腐食の進行には、鉄筋部におけるコンクリートpHの低下に加え、酸素と水分の供給が必要である。鉄筋腐食促進のため促進装置により十分に中性化させた後、吸水1日、乾燥6日の繰り返し環境に曝す実験を行った。水分と酸素の供給に差異を生じさせることを狙い、試験体水準は豆板と鉄筋との位置関係とした。鉄筋位置はかぶり厚さ30mmとし、模擬豆板は表層から10mm、20mm、50mm位置部分に10mm厚さのものを位置させた。曝露開始後4ヶ月後および12ヶ月後に鉄筋腐食状況を確認する計画とし、これまでに中性化促進を終え、吸水・乾燥繰り返しばくろ実験を開始した。また、重量の測定により含水率の変動の測定も行っており、現在のところ1サイクルの変動は0.5%から0.8%であることを確認し、また試験体によって異なる含水率変化をたどることを確認している。 また一方で、中性化促進試験による中性化進行挙動について、フォロー研究を行った。豆板のないコンクリートを対象として、中性化促進による表層と内部での中性化進行について、脱型時期を水準としたコンクリートにより検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
H25年度では、ジャンカの鉄筋との位置関係、容積、密度について水準を設けた試験体を作成し、特に中性化促進試験による実験を行った。概ね当初の計画に従い実験を遂行したが、中性化促進装置の故障により、結果のとりまとめに多少遅れが出た。 H26年度では上記前年度の結果をとりまとめ、シンポジウム等で発表した。また、これらを踏まえて次の鉄筋腐食に関する実験計画を立て、試験体の準備を一部開始し、鉄筋腐食試験の促進のために、中性化促進を十分に行う計画とした。 H27年度では、鉄筋腐食を把握するための実験を引き続き行った。
概ね計画書の方針通りに研究を実施しているが、初年度の実験装置の故障や、他実験との使用時期調整での理由から、全体のスケジュールに遅れが生じたことに加え、鉄筋腐食に関する試験のための中性化促進を十分に行う計画としたため、課題申請時の想定より時間がかかっており、現在実験が継続中である。研究課題申請当初はH27年度までの実施予定であったが、H28年度まで期間を延長したため、進捗状況は遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き、吸水乾燥繰り返し曝露試験を行う。曝露開始後4ヶ月後および12ヶ月後に腐食状況を確認する計画であり、それぞれ平成28年5月および平成29年1月に実施する予定である。また、重量の測定により含水率の変動の測定も引き続き行い、コンクリート中の豆板の位置が水分保持能力や鉄筋腐食に及ぼす影響について整理する。 また、豆板による劣化の進行への影響の程度を把握するため、本課題の実験結果および既往文献等を用い、他要素による影響と比較検討する予定である。これらの結果および初年度の中性化に関する結果を適宜まとめ、学会大会等での発表を予定している。
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Causes of Carryover |
初年度の実験装置の故障や、他実験との使用時期調整での理由から、全体のスケジュールに遅れが生じたことに加え、劣化試験が想定より時間がかかっており、現在実験が継続中である。今後実験の継続およびとりまとめ、論文発表なども必要である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試験の継続に係る費用(試験薬液費用や実験補助業務の発注、また場合によっては追加実験)、試験体廃棄処理費用、文献および情報収集のための費用、および論文発表に使用する予定である。
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