2014 Fiscal Year Annual Research Report
半屋外環境における滞在者の温熱環境適応および熱的快適域に関する研究
Project/Area Number |
25820285
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中野 淳太 東海大学, 工学部, 准教授 (30350482)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 半屋外環境 / 熱的快適性 / 温熱環境適応 / 熱的快適域 / 日射 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「半屋外環境」を環境グレードの区分として定義し、建築温熱環境計画における位置づけを整理した。外乱による環境変動をあえて許容し、滞在者自身による温熱環境への適応も考慮して、建築・設備による一体的な熱的快適性の実現を目指す点に半屋外環境の特徴がある。 温熱環境適応に関する既往研究をレビューし、環境適応の重要な因子と言われている「環境の文脈」を社会、建物、個人の3種の文脈要素に分類することを提案した。また、厳密な環境制御が求められない半屋外環境において、制御点としての快適温度よりも制御範囲としての熱的快適域が重要である点を指摘した。環境の文脈に応じた熱的快適域を満たすように建築・設備の計画を行なうことが、半屋外環境における温熱環境計画の目標といえる。 次に、室内、屋外、半屋外環境における熱的快適域に関する既往研究をレビューした。既存のadaptive modelに基づく温熱環境基準では、日本の環境の文脈が考慮されていない点を指摘した。また、日本国内でも半屋外環境の熱的快適域を導いた研究事例は少ないことを示した。日本という国及び地域の建築条件に対応した社会的・建築的文脈要素を整理し、それらを考慮した実測調査に基づく研究を進めていく必要性を示した。 これまで筆者らが行ってきたパブリックスペース及び駅の熱的快適性調査のデータを統一した手法により再整理した。特に日射のある環境での平均放射温度及び気流特性について、測定方法や算出方法の違いを詳細な環境測定により再検証し、再分析を行った。熱的不快の申告率が20%を下回るSET*の範囲を「熱的快適域」として定義し、非空調駅では19~29℃、空調駅では23~29℃となることを導いた。また、非空調のパブリックスペースでは14.5~32℃、空調されたアトリウムでは18.5~30℃となった。これらの結果は、用途や気候といった文脈要素が類似していれば他の空間にも適用できると考えられる。
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