2013 Fiscal Year Research-status Report
建築材料の吸音特性に着目した施工管理システムの開発
Project/Area Number |
25820287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
岡本 則子 有明工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (00452912)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 建築音響 / 建築材料 / 吸音特性 / 現場測定 / 施工管理 |
Research Abstract |
本研究では,申請者らが提案してきた環境騒音の利用による材料の吸音特性測定法(EA法)を用いて,建築物の内装材を施工する現場で,その音響特性を十分な精度で簡易に計測し,その施工状態あるいは室内音響設計・計画の妥当性を検証するための吸音特性計測システムの開発を目指している.平成25年度は,研究の初年度として,種々の建築空間における同一試料に対する測定値の普遍性の確認,ならびに,提案システムの適用範囲の明確化に向けた以下の検討を実施した. 1. 種々の建築空間における,同一試料に対する測定値の普遍性の検討:まず,一般的に使用されている建築材料のうち,可搬性を考慮して,グラスウール,化粧石膏ボード,ロックウールボードの3種を持ち回り試験に用いる試料として選定した.同試料を,室容積(約60~約700立方メートル)および壁面の吸音性能の異なる3室にそれぞれ設置し,EA法により吸音特性測定を実施した.その結果,一部の周波数・室で測定値に差異が認められたが,測定値は概ね一致し,基本的な普遍性が確認された. 2. 実験室 (残響室) 実験による適用可能な内装材の種類の明確化:1.で選定した材料を音の拡散性の良いとされる残響室内に設置して吸音特性を測定し,多孔質型吸音材の厚さの変化による吸音特性の変化を捉えうることを確認した.さらに,開発段階にあるポーラスモルタルを活用した内装材を用いて,クロス等の表面仕上げを変化させた場合の測定を行い,その変化を捉えうる可能性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究体制も機能しており,研究実施計画に記載した項目が概ね順調に実施できているため.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,前年度の普遍性に関する検討で測定値に差異が認められた室・周波数について,要因の解明とともに解決策を探る.続いて,前年度に引き続き,以下の検討を実施する. 1. 実験室(残響室)実験による適用可能な内装材の種類の明確化:文献調査を行い,多孔質型,板振動型,共鳴器型など吸音機構の異なる建築材料を数種選定し,引き続き,実験室実験によって提案システムの適用範囲をさぐる.この際,適宜,残響室法や音響管法といった既存の測定手法との比較により,測定値の妥当性についても検討する. 2. 施工状態の差異による測定値の差異の検証:背後構造も含め,建築材料の構成が明確な内装材に対して,数種の測定試料を製作し,EA法による吸音特性の計測を行い,施工状態の差異による吸音特性の差異の基礎資料を得る.同試料に対して,残響室法吸音率や垂直入射吸音率の測定も併せて実施し,比較する.また,同様の施工状態の内装材を持つ室で,その内装材の吸音特性の測定を行うとともに,残響時間など室内音響指標も測定し,測定結果の妥当性の検証も行う. なお,必要に応じて研究テーマの取捨選択を行うが,適用可能な内装材の種類の明確化および施工状態の差異による測定値の差異の明確化を優先的に行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一部の消耗品について,本年度に納品されたものの,支払いが次年度となったため. 上記の理由のため,次年度開始直後に執行予定である.
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