2013 Fiscal Year Research-status Report
接地境界層外乱流を考慮した都市内のガス拡散手法の開発
Project/Area Number |
25820289
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
道岡 武信 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (20371370)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大気拡散 / 都市キャニオン / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
都市内での大気質の改善策や、防災などに関連した都市内のガス拡散においては、接地境界層内のシアーなどの機械的に生成される乱流渦がガス拡散を支配すると言われてきた。しかしながら、実際の都市キャニオンでは接地層外の大規模な乱流やキャニオン外の乱流も都市内のガス拡散に大きな影響を与える可能性がある。そこで、キャニオン内で生成される乱流だけではなく、接地境界層外の大規模な乱流構造やキャニオン外の乱れが都市内のガス拡散に及ぼす影響を検討する。 平成25年度は、立方体建物が規則的に配列された理想的な都市キャニオンにおいて、キャニオン内からのガスの排出メカニズムに関して検討した。その結果、我々のグループが理想的な2次元のストリートキャニオンにおける研究から明らかにしてきたように、キャニオン上空に存在する組織的な乱流構造が、3次元の都市キャニオン内からのガス放出にも寄与することが明らかになった。ただし、十分に発達した乱流場においては接地境界層外の大規模な乱流構造が理想的な都市内のガス拡散に明確に影響を及ぼすことを確認できなかった。 次に、都市キャニオンで生成される接地境界層内の乱流ではなく、キャニオン外の流れ場がキャニオン内のガス拡散に及ぼす影響を検討するために、最も風上側の建物からの距離(フェッチ)が都市内のガス拡散に及ぼす影響を検討した。その結果、風上側から3列目程度のキャニオンでは、上空の組織的な乱流構造がガス拡散に影響を及ぼしているのではなく、建物近傍で生成された乱れがガス拡散に寄与していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、主に理想的な都市キャニオン内のガス拡散を対象とした数値シミュレーションを実施した。接地境界層外乱流やキャニオン外乱流がガス拡散に及ぼす影響が明らかになり、当初の計画通りにほぼ進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、実在の市街地に近い街区形状を対象とし、接地境界層上空で生成される大規模な乱流渦や風向変動などの影響を考慮した数値シミュレーションを実施する。複雑な街区形状を数値シミュレーションで再現するために、5000万から1億メッシュを用い、大規模可視化を行う予定である。それにより、一般的な数値シミュレーションでは再現することができなかった上空での乱流構造を計算領域内に模擬でき、より実際の大気拡散に近いガス拡散現象を詳細に把握できる。 本研究で得られた成果に関しては、国内学会の学会および学術論文誌等で積極的に発表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画では上期中に数値シミュレーションを実行し、下期の学会発表を予定していた。しかし、想定していたより計算時間が必要であり、計算結果の取得が下期になり、想定していた学会に発表することができなかったため、次年度への繰越金が生じた。 平成25年度に発表する予定であった研究成果を国際学会で発表するための参加費、出張旅費として使用する計画である。
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Research Products
(4 results)