2016 Fiscal Year Annual Research Report
A study on regional planning approach toward territorial cohesion in Europe
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25820291
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
片山 健介 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (00376659)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地域計画 / 欧州 / 空間的結束 / spatial planning / 都市農村パートナーシップ |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 事例研究 (1)空間的結束の主要概念のひとつである多核型空間構造を目指した地域計画の事例として、アイルランドの国土空間戦略(NSS)においてゲートウェイに指定された2都市(スライゴー、コーク)を対象に研究を行った。その結果、小規模都市であるスライゴーにとって、上位計画で拠点都市に位置づけられたことは大きいが、財源不足により計画が実現されておらず、NSSの多核的空間構造は理念としては評価されても実現手段が不足しているという評価が得られた。一方、大都市であるコークはゲートウェイとしての評価が高いが、NSSの効果というよりも近隣地域まで含んだ都市圏計画の経験による自律的発展がみられた。 (2)空間的結束の主要概念のひとつであるplace-basedアプローチの事例として、フランス・レンヌ都市圏の地域計画の事例研究を行った。レンヌ都市圏は、計画手法としてRural-Urban Partnershipの考え方による「群島」型の空間構造を目指している。その実現に向けたSCoTは土地利用、住宅、交通など関連分野を統合した計画であり、複数の広域行政組織にまたがる多層的ガバナンスが見られた。 2. 持続可能な地域空間形成に向けた地域計画手法 欧州の事例に基づく地域計画手法として、以下の知見が得られた。(1)空間的結束に関連の深い空間計画の考え方は国・地域によって見直されつつあり、曖昧な概念を具体化する手段が必要である、(2)空間的結束の主要概念である多核型空間構造を目指す上で広域計画による位置づけは大きな役割を果たすが、都市圏レベルでの自律的な地域計画が求められる、(3)その手法として、日常生活圏に基づく圏域設定、持続可能性アセスメントを活用した計画技法、地域空間計画を策定する主体の明確化、都市と農村のパートナーシップに基づく各地域の相互価値を考慮したプランニングが有用である。
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