2013 Fiscal Year Research-status Report
生活課題解決型の住民活動による地域共助コミュニティの形成に関する研究
Project/Area Number |
25820297
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
室崎 千重 奈良女子大学, 研究院生活環境科学系, 講師 (60426541)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コミュニティ / 生活支援 / 居住継続 / 共助 |
Research Abstract |
超高齢化社会においては、地域が抱える生活課題を解決する共助のしくみがより重要となる。本研究は、住民主導の地域課題解決型の共助の取り組みに着目し、課題解決への知見を得るとともに、取り組みによる地域内の人の繋がり形成とその効果を捉えることにより、新たな共助のしくみの構築と豊かに住み続けられる地域づくりのためのコミュニティ計画への知見を得ることを目的とする。 平成25年度は、基礎的調査として、組織形態の異なる3事例(①住民主導型、②NPO主導型、③生協主導型)を取り上げる。事例概要は、①大阪府内の分譲集合住宅団地:住民有志のボランティア組織が積極的に活動展開、②兵庫県内の大規模団地:NPOにより生活支援サービスが展開、③兵庫県内の加入者同士の生活支援活動である。 3事例の組織運営、活動内容、活動実績、活動展開に至る経緯、利用者概要などの情報収集・データ整理を行い、組織形態による活動の違い・特徴を分析した。活動内容は、プライバシーへの配慮や地域ルールを守る必要などから、実施しやすい/実施しにくい項目があること、その項目は組織形態や活動範囲によって異なる可能性が把握できた。日常生活に不便・不安を抱える世帯の居住継続を総合的に支える地域コミュニティづくりへの知見を得るために、活動に関わる住民に実施するアンケート項目を検討し、調査票を作成した。 また、東日本大震災の被災地の活動支援に関西から定期的に訪問しているコンサルタントや活動団体へのヒアリング調査を実施し、先進事例の候補となる事例収集を行った。海外先進事例についても有識者へのヒアリングおよび文献収集を実施し、候補を選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)基礎的調査3事例の活動内容・状況等のデータ収集と組織形態ごとの違い・特徴を明確にするための分析に時間を要した。また、これらの特徴をアンケート調査により明確にできる質問項目の検討を十分に行うため、予定のアンケート調査票の配布まで実施できていない。 2)海外先進事例の情報収集が文献の入手が遅れたことにより、実地調査が実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎的調査の住民主導型事例の活動参加者(住民)を対象にアンケート調査を実施し、①共助のしくみを通じた地域内での顔見知り人数や頼れる人数および、つきあいの深さに関する変化の有無、②生活支援要求を持つ住民の居所への満足度を明らかにする。調査結果を踏まえて、活動に関わる高齢者数名にヒアリング調査を実施し、生活支援活動と住民の日常生活の質との関係性を詳細な事例収集により考察する。各調査の実施には、人手が必要となるため奈良女子大学生の支援を得て行う。 先進事例発掘調査の結果から国内事例を2~3事例選定し、住民主導の先進的取り組みの実態を把握するため、活動主体を中心にヒアリング調査を行い、共助の取り組みを発展させる手がかりを得る。広い視点での地域づくり、コミュニティづくりを展開する知見を得るため、選定した海外事例(1~2事例)の活動主体へのヒアリング調査も実施する。 これらの知見から運営主体別、地域課題別の共助の取組の実態把握により、地域住民の生活実態に応じたきめ細かな地域生活支援と地域コミュニティづくりへの知見を得る。 研究結果は、調査協力を得た基礎的調査の事例団体に報告して地域に還元するとともに、日本建築学会等の国内学会へ発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)基礎的調査3事例の活動内容・状況等のデータ収集と比較分析、アンケート調査票の作成に時間を要したため、予定のアンケート調査票の配布・回収と結果入力が実施できなかった。 2)海外先進事例の情報収集が文献の入手が遅れたことにより、実地調査が実施できなかった。 当初の計画通りに、アンケート調査の配布・回収・分析(奈良女子大学生への謝金および調査結果の入力委託料)および、先進海外事例調査(海外旅費・謝金)に使用する。
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