2013 Fiscal Year Research-status Report
地方都市郊外部における定住性評価手法と市街地集約モデルの提案
Project/Area Number |
25820298
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
小川 宏樹 和歌山大学, システム工学部, 講師 (20425375)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 都市計画・建築計画 / 集約型都市構造 / 郊外戸建住宅団地 / 地方都市 / 構造方程式モデリング |
Research Abstract |
(1)郊外住宅地の「定住性」に関する指標の整理 研究代表者らによる先行研究、既往研究および報告書等から、郊外住宅地の「定住性」に関する物理的指標(交通環境、住環境、居住性等)と、いわゆる暮らしやすさに関連する社会的指標(コミュニティ活動の活発さ、近親者との距離等)を整理し、定量評価する手法を検討した。特に既往研究の少ない社会的指標に関して、効果項目の選定と構造方程式モデリングを用いた数量化手法を検討した。 (2)近畿圏の人口動態の分析と調査対象地域の絞り込み 平成22年国勢調査のGISデータ(地域メッシュ統計・500mメッシュ等)を利用し、近畿圏の既成都市区域や近郊整備区域(大都市:大阪市と周辺市)、および都市開発区域(地方都市:和歌山市等)の人口増加地域と減少地域の分布の特徴を把握した。また土地利用データと重ね合わせることで住宅地を選定し、立地環境が似通っているが人口動態の特徴が異なる住宅地を選定し、調査対象住宅地を絞り込んだ。 (3)調査対象住宅地の概要把握 都市計画基礎調査等の自治体の持つ統計データから、調査対象住宅地の概要(造成年、開発面積、計画戸数、分譲計画等)を把握した。具体には、近畿圏外縁部(50km圏)に位置する和歌山県和歌山市北部地域を対象に、計画戸数200戸以上(計画人口が概ね1,000人程度)の12団地(加太サニータウン、磯ノ浦サニータウン、つつじヶ丘、木ノ本ニュータウン、大谷台、東洋台、鳴滝団地、緑ケ丘、有功ケ丘、西ニュータウン、東ニュータウン、サンシャイン紀の川台)の調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、地方都市の郊外住宅地の「定住性」に関する指標を、1)物理的指標:交通環境、住環境、居住性等と、2)社会的指標:近親者との距離、コミュニティ活動の活発さ等の二つに大別し、これらの指標と人口動態との関係について評価することを目的としている。そして、研究の前半では特に、すでに人口減少下にある地域であっても人口増加・維持している郊外住宅地と、人口減少している住宅団地の特徴を整理することに主眼を置いている。 平成25年度の研究における和歌山市の郊外戸建住宅団地の調査において、団地の定住性(人口維持)がかならずしも、団地の新しさや交通環境等の物的環境のみでは説明できないといったことが明らかになってきた。そのため、後半ではどういった特徴(物的・社会的環境の複合的要素)を持つ団地が定住性が高いのかを明らかにしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)調査対象住宅地の人口推計 国勢調査の町丁字別統計から、調査対象住宅地毎の人口動態を把握し、人口推計を行う。これにより、住宅地造成時~現在~近い将来の人口推計から、住宅地毎の将来的な人口維持の可能性を検討する。 (2)郊外住宅地住民の定住意識調査の実施 調査対象住宅地の住民を対象に、個々の住宅の住環境や居住性といった物理的指標、地域コミュニティとの係わりや活動といった社会的指標をアンケート調査等により把握する。また、実際の住民の定住意向(今後も同じ住宅地に住み続ける意思があるか否か)についても調査し、人口推計結果との差違についても把握する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計画申請した時点ではGISを用いた分析にゼンリン電子地図を購入する予定であったが、Open Street Map Japan(http://osm.jp)や地図・空中写真閲覧サービス(http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do)等のオープンソースによる無料の電子地図データが新たに使用できるようになったため、その分の予算が削減可能となった。 なお、この研究素材の変更に関する研究の進捗状況に関する遅れ等はない。 平成26年度は引き続き、和歌山市北部の郊外戸建住宅団地の調査を実施するため、その対象範囲を広げることで(例えば平成25年度は調査対象としなかった新しい郊外戸建住宅団地や、隣接する岩出市の郊外住宅団地等)研究データの充実を図ることを目的にアンケート調査等に使用する。
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