2013 Fiscal Year Research-status Report
フランス近代建築における建築史の成立と建築教育の形成
Project/Area Number |
25820315
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
戸田 穣 金沢工業大学, 環境・建築学部, 講師 (00588345)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ルグラン / フランス建築史 |
Research Abstract |
平成25年度は、ジャック=ギヨーム・ルグランとジャン=ニコラ=ルイ・デュランの資料の読解・分析を中心に進めた。主たる対象とした資料は、ルグランについて『様々な民族の建築の傑作コレクション』(1806)『古代のギャラリーあるいは建築の傑作コレクション』(1808)、『建築全史序説』(1800-1801/1808)、デュランについて『新旧建築比較図集』(1800-1801)、『エコール・ポリテクニーク建築講義提要』(1809)、『新建築講義提要』(1813)である。また、上記資料、とくにルグランの『建築全史序説』と『新旧建築比較図集』の関係を論じる上で重要な資料として、フランスにて『芸術ジャーナル』誌、『美術館年報』誌の調査を行った。今年度予算の執行に際しては、この現地調査旅行にあてた旅費が主たるものとなっている。上記の2誌は平成26年度の研究実施計画の範囲にも及ぶ資料である。現在、上記のテキストを中心にルグランとデュランの建築史に対する態度を比較検討する論文を執筆中である。またルグランの没後財産目録と没後競売カタログについても、ルグランと長く協働したモリノスの没後財産目録・競売カタログとの比較から分析を進めている。ルグランが生前刊行したテキストの背景となる、建築知の拡がりが明らかになりつつある。上記、ルグランとデュランの建築論・建築史を比較する論文と平行して、こちらについても独立で執筆を進めている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
資料収集に関しては必要なものを収集できている。研究成果の発表について、やや遅れていることは否めない。理由としては、教育と研究のバランスをうまく配分できなかったことが原因と考えている。現在、平成25年度の調査の成果を、論文にまとめている段階であり、平成26年度にはあらたな研究成果とともに発表していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はパリの図書館やアーカイブズで資料調査にあたりながら、引き続き収集資料の読解を行っていく予定である。ルグランならびにデュランの資料については収集が進んでおり、公表の準備を進めたい。また平成26年度は、先行するジャン=フランソワ・ブロンデルとの建築史との関係も明らかにしたいと考えている。その他、できうる限り同時代のその他の建築論も参照したいと考えている。平成27年度では、ルグランと同時代に活躍したレオン・デュフルニィの研究を視野に入れているが、その準備も進めていきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、当初3週間の出張を予定していたが、校務との関係で2週間の出張しかかなわなかった。また現地通貨での資料の複製あるいは購入が進められなかった。 平成26年度は、次年度使用額と併せて、複数回のまとまった期間の出張が必要であり、今年度は十分な期間を確保したい。
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