2014 Fiscal Year Research-status Report
フランス近代建築における建築史の成立と建築教育の形成
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25820315
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
戸田 穣 金沢工業大学, 環境・建築学部, 講師 (00588345)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フランス建築史 / ルグラン / 啓蒙主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、平成25年度調査から扱っている『芸術ジャーナル』誌、『美術館年報』誌の調査を引き続き行った。その結果をもとに現在、得られた知見の整理を進めている。平成26年度は、ルグラン『建築全史序説』、『パリとその建物の記述』(シャルル=ポール・ランドンと共著)にまとめられた建築史記述を分析した。とくに後者は、18世紀から革命期の建物についての記述が含まれている。その時期は、先行するジャック=フランソワ・ブロンデル『フランス建築』(1770-1777)が扱えなかった19世紀後半以降の建築も対象としており、フランス建築史記述の一時期を担う重要性をもっている。ルグランも、ブロンデルの建築史記述を意識した記述を展開している。両者における建築史記述の比較を行っている。また『パリとその建物の記述』内部においては、複数の著者の関与があり、その比較はルグランの建築史記述の特徴を明らかにする上で有効である。本書は、ルグランの早逝により、第2章以降をカトルメール・ド・カンシー、シャルル・グレが引き継ぐこととなった。本書では、すでにルグランが『美術館年報』に寄稿した建物と同じ建物を扱う場合、『美術館年報』の記事を再録することがあった。しかしその際にカトルメール、グレによって大きく改稿されるケースもあり、また完全に書き改められるケースも存在する。ルグランによる『美術館年報』の記事と、『パリとその建物の記述』の記事との異同を分析することで、ルグランの記述に施された修正を明らかにし、ルグランとカトルメール、グレの建築史記述の差異を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、前年度おおむね順調に収集の進んだ資料を対象として整理を行ったが、反面新しい資料の収集に遅れがでている。平成27年度は比較的長期にわたり資料調査を行いたい。また研究成果の発表についても、従前の蓄積を公表したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はパリの図書館やアーカイブズで資料調査にあたりながら、引き続き収集資料の読解を行っていく予定である。今年度は、フランス国立高等美術学校図書館の所蔵するレオン・デュフルニィの草稿を調査対象として、研究を進めていく。デュフルニィは、ルグランと同時代の建築家で、アカデミーの建築史教授を務めた。この時期の建築史と建築教育を考える上で重要な人物である。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、当初出張予定よりも、短い期間となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、まとまった期間の出張が必要であり、今年度は十分な期間を確保したい。
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Research Products
(1 results)