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2014 Fiscal Year Research-status Report

イタリアの初期中世教会堂建築における求心的空間~周歩廊の機能と変遷

Research Project

Project/Area Number 25820318
Research InstitutionKobe Shukugawa Gakuin University

Principal Investigator

高根沢 均  神戸夙川学院大学, 観光学部, 准教授 (10454779)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords周歩廊 / 初期中世 / スポリア / 集中形式 / 軸線
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、夏にピエモンテ州、ロンバルディア州を中心とする北イタリアの事例調査を実施し、また冬にはカンパーニア州を中心とする南イタリアの事例調査を実施した。
北イタリアの調査では、イヴレア、ヴェローナの研究対象事例について簡易実測を含む建築調査と文献調査を行うとともに、ランゴバルド時代の関連建築事例で目視調査を行った。特にヴェローナのサント・ステファノ聖堂では、後世の改築が著しいとはいえ、アプシス後背にある2重の周歩廊は特徴的であり、上部周歩廊に置かれた司教座と聖域との関係を考える上でさらに詳細な建築史的検討が必要である。
南イタリアの調査では、前年度に行ったサンティッシマ・アンヌンツィアータ聖堂の簡易実測を補足するとともに、ベネヴェントのサンタ・ソフィア大聖堂で実測調査に関する打ち合わせを行った。またノチェーラのサンタ・マリア・マッジョーレ洗礼堂において建築部材の補足調査を行い、再利用材の意匠記録を行った。
これまでの事例調査によって、集中形式における再利用部材に共通する特徴があるという仮説をあらためて確認することができた。聖域を示す軸線に対して斜交する軸線を形成する位置に配置された特殊な部材は、周歩廊では周回する儀式的動線が形成されたか、またはある特定の行為を行う場所が設けられていたことを示すという共通の特徴を備えている。またノチェーラの洗礼堂において、外壁に残る創建当初の開口部と小アプシスとの対応の検討を通じて、聖域を取り囲む空間からどのように、またどの位置から入退場するかを検討するうえでの指標として有効であることを確認した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

これまで南イタリアおよび北イタリアにおいて現地調査を数回実施し、各調査対象事例についての文献資料および関連する先行研究資料の収集を進めてきた。特にイタリア南部のベネヴェントにあるサンタ・ソフィア大聖堂では、司教館に付属する公文書館での調査を実施し、実測に関する許可の取得も順調に進んでいる。また、そのほかの事例では携帯型レーザー計測器を使用した簡易実測を実施している。
それぞれの事例では、再利用材(スポリア材)の配置計画と聖性の焦点に関わる軸線の関係に注目し、中核となる空間と周歩廊がどのような機能的な関係にあったのかを検証している。その結果として、主たる軸線に対して斜交する軸線を形成するような特別な再利用材の配置という共通点が多くの事例で確認できた。聖性の高い空間に対してそれをとりまく周歩廊は聖性の低い空間とみなされるが、二つの空間の区分および接続には列柱の部材の意匠や色合いが有効な手段であったと思われる。
一方で、現地での本格的な測量調査については、現地機関からの許可取得が遅れている。教会堂事例の調査許可に関する管轄は複雑であり、許可が取れそうでなかなか進まないというケースが多い。例えば現在、ベネヴェントのサンタ・ソフィア大聖堂では教会堂を管理する教区団体からの了解は取れているが、行政機関の許可を待っている状況である。担当者からは手続きが進行中という連絡を受けているので、本年度は可能になる見込みである。その他の事例については、管理団体および行政機関との交渉を並行して進めている状況である。

Strategy for Future Research Activity

研究対象の事例に加えて関連する事例の目視調査を行うことで、周歩廊と聖性の焦点となる空間との機能的な関係を示す手がかりとしてスポリアの配置が有効であるという確信が強まった。今後は、対象事例の実測をできる限り行うとともに、目視調査または文献調査によってその他の関連建築におけるスポリア配置の事例を増やし、比較検討を進めることで共通する特徴を抽出し、その意味を検証する必要がある。
また、周歩廊における儀式行動の文献的な研究をさらに進めるとともに、聖域後背に半円周歩廊が設置される形態との関係を考察していく。その点で、サンティッシマ・アンヌンツィアータ聖堂と北イタリアの聖堂との比較を進める予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2015

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] ノチェーラのサンタ・マリア・マッジョーレ洗礼堂におけるスポリア材の配置と内部空間の関係2015

    • Author(s)
      高根沢均
    • Organizer
      日本建築学会
    • Place of Presentation
      東海大学
    • Year and Date
      2015-09-06

URL: 

Published: 2016-06-01  

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