2013 Fiscal Year Research-status Report
Si一次元鎖を内包したB二十面体網目構造を有するNa-B-Siの熱電特性の解明
Project/Area Number |
25820327
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森戸 春彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80463800)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 熱電変換材料 / 新規ホウ化物 / 反応焼結 / 新規結晶構造 / ナトリウム / ホウ素 / シリコン |
Research Abstract |
本研究では、高温熱電変換材料の開発を目指し、新規物質Na8B74.5Si17.5の熱電特性を明らかにすることを目的としている。 熱電特性を評価するにあたり、特性測定用のバルク体試料を作製する必要があるが、本化合物は構成元素にNaを含んでいるため高温合成や粉末焼結によるバルク体の作製が困難であった。本研究では、Bの圧粉体にNa-Si融液を含浸させて反応させる融液含浸反応焼結法を用いることで、Na8B74.5Si17.5のバルク体試料の作製に成功した。バルク体が得られたことにより、室温から700℃までの電気伝導度およびゼーベック係数を測定することができ、本化合物の高温熱電変換材料としての可能性を見出せた。 また、Na8B74.5Si17.5はシリコン(Si)が一次元的に連なった結晶構造を有しているが、このSiの結合状態が異なる新しい結晶相が存在することが示唆されていた。本研究では、合成の際に少量の酸化物を添加することで新規結晶相が生成することを明らかにした。新規結晶相のバルク体試料を作製し、電気伝導度およびゼーベック係数を測定した結果、結晶構造の違いによって電気的特性が変化することを明らかにした。 今後は、Na8B74.5Si17.5の構成元素であるNa、BおよびSiの一部を他の元素で置換することで、結晶構造および熱電特性の制御を試みる。また、構成元素や結晶構造の異なるNa8B74.5Si17.5の熱電特性を系統的に評価することで、Na8B74.5Si17.5における熱電特性向上の指針を確立する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、新規物質Na8B74.5Si17.5のバルク体を作製し、そのバルク体を用いてNa8B74.5Si17.5の熱電特性を明らかにすることを目的としていた。本研究では、当初の計画通り、融液含浸反応焼結法を用いてNa8B74.5Si17.5のバルク体試料の作製に成功した。得られた試料を用いて、室温から700℃までの電気伝導度およびゼーベック係数を測定し、高温熱電変換材料としての可能性を見出した。 また、Na8B74.5Si17.5はシリコン(Si)が一次元的に連なった構造を有しているが、このSiの結合状態が異なる新しい結晶相が存在することが示唆されていた。本年度は、この新しい結晶相の合成条件を明らかにし、結晶構造解析を行うことを目的としていた。本研究では、この新しい結晶相が酸素を少量添加することで生成することを明らかにし、現在、結晶構造解析を行っている。 本年度は、研究計画書通り、バルク体の作製、電気的特性の評価、新しい結晶相の作製に成功し、おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究計画書通り、Na8B74.5Si17.5の熱電特性の向上に注力する。具体的には、本化合物の構成元素であるNa、SiおよびBの一部を他の元素によって置換し、電気的特性の制御を行う。また、元素置換により、結晶構造の制御も行う。構成元素や結晶構造の異なるNa8B74.5Si17.5の熱電特性を系統的に評価することで、Na8B74.5Si17.5における熱電特性向上の指針を確立する。 得られた研究成果については、随時、論文や特許、また学会での講演発表で公表する。
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Research Products
(7 results)