2013 Fiscal Year Research-status Report
窒化スカンジウムの導入による閃亜鉛鉱型窒化ガリウムの合成に関する研究
Project/Area Number |
25820337
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大垣 武 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (80408731)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 窒化スカンジウム / 薄膜 / 分子線エピタキシー / 電気特性 |
Research Abstract |
本課題では、窒素ラジカルを窒素供給源とする分子線エピタキシー(MBE)法を用いて、岩塩型構造の窒化スカンジウム(ScN)薄膜をバッファ層として導入することにより、準安定相である閃亜鉛鉱型GaN(c-GaN)を合成することを目的としている。本年度は、バッファ層となるScNエピタキシャル薄膜の合成とその高品質化を目指した研究を実施し、成長用基板の探索、合成条件の最適化について検討を行った。また、作製したScN薄膜の電気特性についても評価した。 まず、ScNと同じ岩塩型結晶構造を有するMgO単結晶基板を用いて、ScN薄膜の合成条件と結晶性、電気特性の関係を調査した。代表的な(100), (110), (111)MgO基板では、すべての基板において、ScN薄膜のエピタキシャル成長を確認できた。その結晶性、電気特性は、成長温度、Sc/N供給比、窒素ラジカルの状態で大きく変化し、この結果から、高品質なScN薄膜が得られる合成条件を明らかにした。また、ScNが高キャリア濃度、高電子移動度を併せ持つn型半導体であることを明らかにした。 さらに、ScN薄膜の成長用基板として、安価で大型・高品質な単結晶が得られるサファイアの検討を行った。サファイア基板のm面、r面を用いることで、それぞれ(110)配向、(100)配向したScN薄膜を得ることに成功し、ScNと同じ結晶構造であるMgO単結晶基板を用いて合成するよりも、再現良く高品質なScN薄膜を得ることに成功した。また、これらのサファイア基板上にヘテロエピタキシャル成長したScN薄膜について、成長様式を明らかにし、電気特性の評価も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、MBE法によるScN薄膜の合成に成功し、その結晶性を向上させる成長用基板、合成条件を明らかにしている。そのため、ScN薄膜をバッファ層として利用したc-GaN薄膜の合成実験を進められる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に得られた高品質ScN薄膜の合成プロセスを用いて、ScN薄膜上にc-GaN薄膜の成長を試みる。 c-GaNの成長には、配向の異なるScN薄膜を用いる。ScN薄膜と同様に、GaとNの供給比と成長温度が主な合成条件となるため、これらの条件と結晶性、平坦性、薄膜構造について調査する。目的とするc-GaNに混在する可能性のあるh-GaNを評価するための評価法として、XRD測定、ラマン分光、TEMを利用する。また、得られたc-GaNのデバイス応用の可能性を検討するために、薄膜の表面構造、光・電気特性についても評価を行う。
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