2014 Fiscal Year Annual Research Report
繊維・樹脂間のぬれ性を考慮した新たな浸透性評価理論の構築
Project/Area Number |
25820345
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
斉藤 博嗣 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (70367457)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 複合材料 / 浸透性 / ぬれ性 / 毛管現象 / マルチスケール |
Outline of Annual Research Achievements |
繊維に対する樹脂の充填(=含浸)予測が重要な技術課題となっている繊維強化プラスチック(FRP)では,Darcyの法則に基づき繊維に対する樹脂の浸透のしやすさ(=浸透性)が評価されているが,構成材料の変化に応じて個別に浸透性を測定する必要がある.そこで本研究では,繊維・樹脂間のぬれ性と,樹脂に対する繊維基材の浸透性の間に存在する数理的相関性を求め,ぬれ性を考慮した新たな浸透性評価理論を構築することを目的とした. <平成25年度の研究成果>繊維/樹脂間のぬれ性を変化させるために,繊維の界面処理を変化させ樹脂浸透挙動を評価したところ,巨視的な繊維束周りの浸透速度はぬれ性の向上と共に低下したが,成形後のFRPの断面観察より,微視的な繊維束内への浸透はぬれ性の向上とともに向上し,見かけの浸透速度と逆相関性を示した.この結果から,ぬれ性をパラメータとして,繊維束周りと繊維束内の2つのスケールにおける浸透挙動を評価する必要性が推察された. <平成26年度の研究成果>繊維束周りに樹脂が浸透する際の巨視的な見かけの樹脂浸透と,毛管現象により繊維束内に樹脂が浸透する際の微視的な浸透挙動の相関性を検討するため,樹脂圧力を制御することにより,微視的浸透が支配的な条件と巨視的浸透が支配的な条件をつくり,両者の樹脂浸透挙動を比較した.その結果,毛管現象による微視的な浸透が支配的な条件下では,接触角が90度以下の場合,繊維束内の樹脂浸透速度は繊維束周りの浸透速度を上回り,時間の経過とともに速度差は小さくなった.一方,樹脂圧力により巨視的な浸透が支配的な条件下では,繊維束周りの浸透速度が繊維束内の浸透速度を上回り,その関係は測定に用いた10kPaまでの圧力範囲で変化がなかった.以上の結果より,繊維束単位の微視的領域における浸透性が,従来測定されている巨視的な繊維織布の浸透性を支配することが明らかとなった.
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Research Products
(5 results)