2013 Fiscal Year Research-status Report
擬延性セラミックス基複合材料の損傷蓄積モニタリングによる寿命予測に関する研究
Project/Area Number |
25820346
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
野澤 貴史 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門 六ヶ所核融合研究所, 研究副主幹 (70455278)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 擬延性セラミックス基複合材料 / 損傷モニタリング / デジタル画像相関法 / アコースティックエミッション法 / 電気抵抗率測定法 |
Research Abstract |
本研究はデジタル画像相関(DIC)法、アコースティックエミッション(AE)測定、電気抵抗(ER)測定によりSiC/SiC複合材料の損傷許容性、強度異方性の解明を主目的とした。平成25年度はこれらの手法の適用性評価を行うと同時に、まずは短時間引張試験に絞って、SiC/SiC複合材料の破損蓄積過程の評価を開始した。その結果、DIC法においてパターン作製法の最適化検討により、局所的な損傷過程の可視化を実現し、特に、AE法を併用することで複合材料の負荷方位の違いに見られる損傷蓄積過程の細かな差異を特定することに成功した。 具体的には、AE 測定の結果、引張負荷方位が繊維長手方向と一致する場合は、比例限度応力以下から損傷蓄積が開始し、き裂発生後も応力-ひずみ曲線において線形的な振る舞いをすることが明らかになった。DIC法によりひずみ分布を特定したところ、同条件では局所ひずみスポットが相互に影響を及ぼしあい、マクロなひずみ帯を形成することが明らかとなった。これは、強い界面摩擦力や繊維の高い剛性を理由に、比較的弱いマトリックス部に損傷が集中したことによる。その結果、試験片全体の損傷密度が低く抑えられ、引張初期のコンプライアンスへの影響は限定的であったと考えられる。その後、負荷が増すことで繊維のすべりが開始し、非線形挙動に移行する。一方、繊維方位が負荷方位から離れる場合、繊維束に沿った剥離モードによるひずみ帯が顕在化した。このとき個々の繊維の剥離が複合材料の破断に直結するため、AEは破断時のみに検出された。 一方、ER測定を損傷モニタリングに活用したところ、その変化は微小で、有意な損傷蓄積を検出するには至らなかった。このことは逆に、複合材料機能の損傷に対する優れた耐性を示唆する結果であり、本手法は損傷許容性の評価に活用できるものと思われ、引き続き検討を進めることが重要との結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、高速度ビデオカメラとデジタル画像解析システムを併用した擬延性セラミックス基複合材料のき裂先端の局所ひずみ分布の測定技術の確立を目的とし、特にデジタル画像解析のための試験片表面へのパターン導入法の最適化に関する技術検討を行った。本期間において、パターン導入のためのスプレー法の最適化条件を決定し、十分な精度での測定を実現するに至った。また、アコースティックエミッション法や電気抵抗率測定等の他の手法の併用による損傷モニタリングにおいても、複合材料の破損分類に関する多くの知見が得られ、当初目的である試験準備・調整についてはほぼ終了した。一方、曲げ疲労負荷による予き裂導入法に関しては、再現性のあるき裂導入がやや難しく、引き続き最適化が必要である。以上より、幾つかの技術的課題は残るものの、全体としては、当初計画どおり研究が進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、当初計画どおり、平成25年度に開発した損傷蓄積モニタリング法を活用し、詳細なき裂進展過程の解明に向けた試験を開始する。特に、アコースティックエミッション法との併用による損傷蓄積過程の定量化を目指す。その際、まずは機械加工による巨視ノッチについて、モードIの破損モードによるき裂進展過程に関する基礎的知見を獲得する。並行して、予き裂導入法の最適化を進め、早い段階で再現性よく導入可能なき裂形状・サイズを決定することを目指す。また、破断時の損傷蓄積度の評価のため、エッチング法により表面処理した複合材料の組織観察を行い、蓄積したき裂の数密度の特定を目指すことで、総合的かつ定量的な評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
別予算による旅費充当と複数社見積りによる調達の合理化の結果差額が生じたため。また、予備検討の結果、一部の試験片において最終仕様が定まらず予算執行を控えたため。 取り急ぎ試験片仕様を定め、試験片の加工費に充当する計画である。
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Research Products
(3 results)