2013 Fiscal Year Research-status Report
自発的表面濃縮を利用したゴム表面への機能性改質層の形成
Project/Area Number |
25820347
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hyogo Prefectural Institute of Technology |
Principal Investigator |
本田 幸司 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 研究員 (20553085)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高分子材料 / 表面改質 / 撥水撥油性 / フッ素系化合物 / ゴム材料 / ぬれ性 |
Research Abstract |
本課題では、表面改質剤の自発的な表面濃縮を利用した、高分子材料の表面改質を目的としており、高分子材料の中でも特にゴム材料に着目し、研究を行っている。本年度は、高い撥水撥油生を有するフッ素系化合物を用いて、ゴム表面へのフッ素系化合物の濃縮による、撥水撥油生の向上や、自己修復能を検証し、そのメカニズムの解明を検討した。 まず、炭素ーフッ素結合が連なった側鎖(フルオロアルキル基)を有したアクリレート系のポリフルオロアクリレート(以下PFA)と、ゴムとの相溶性の良いと考えられるステアリルアクリレートまたはステアリルメタクリレートとの共重合体をラジカル重合により合成した。合成したフッ素系共重合体をゴム(スチレンブタジエンゴム(SBR)と天然ゴム(NR)を使用)へ添加し、表面特性を評価した。 フッ素系共重合体を添加したゴム表面の水および油に対する接触角測定を行ったところ、フッ素系共重合体を添加していない試料に比べて接触角の上昇が確認された。また、アルゴンガスクラスターイオン銃を利用したX線光電子分光分析(XPS)の深さ方向分析により、ゴム表面にフッ素系共重合体が偏在していることが確認された。以上の事から、フッ素系共重合体がゴム表面へ自発的に濃縮し、その結果表面が撥水撥油性の高いフッ素系共重合体で覆われたために、接触角が向上したと考えられる。フッ素系共重合体が表面に濃縮した要因としては、表面自由エネルギーが極めて低いフルオロアルキル基が空気界面に出る事でエネルギーを低下させようとする駆動力が働いたためと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、高い撥水撥油生を有するフッ素系化合物を用いて、ゴム表面へのフッ素系化合物の濃縮による、撥水撥油生の向上や、自己修復能を検証し、そのメカニズムの解明を検討した。結果としては、実際にフッ素系化合物の添加によりゴム表面の撥水撥油性の向上を確認できたため、当初の目的は達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
フッ素系化合物の添加によるゴム表面の撥水撥油性の向上は達成されたが、メカニズムに関しては、まだ不明確な部分もあるため、その解明をさらに進める。 また、当初の計画通り、次年度は耐候性や親水性を有する高分子によるゴム材料表面の高機能化や、現状ではゴム材料に限定しているが、汎用プラスチック材料への応用の検討も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、フッ素系高分子の添加に関しては、うまくいかない可能性も考慮して、3通りの方法を検討していたが、最初に行った検討で成果が見込めたため、他の方法に関しては実施しなかったため。 当初の予定通り、次年度に行う予定の検討内容に上乗せして使用するのに加えて、今年度実施しなかた手法に関しても検討を行うために使用する。
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