表面特性制御による骨形成を促進あるいは抑制するチタン合金表面の創製

2013 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25820348
• Research Category: Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 稗田 純子 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40566717)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2015-03-31
• Keywords: チタン / 表面官能基 / 表面エネルギー / 骨形成

Research Abstract

本研究は、骨形成を促進あるいは抑制するチタン表面の創製を目的として、どのようなチタン表面において骨形成が促進あるいは抑制されるのかを表面特性の観点から調査・検討を進めている。本年度は、異なる表面エネルギーをもつチタン表面の作製のために、メチル基、アミノ基あるいはチオール基を末端にもつ有機シラン分子によるチタン表面の修飾を行った。はじめに、メチル基を末端官能基にもつトリメトキシプロピルシラン、アミノ基を末端官能基にもつアミノプロピルシランおよびチオール基を末端官能基にもつメルカプトプロピルトリメトキシシランを用いて、チタン表面での有機シラン膜の作製条件の探索を行った。各種末端官能基をもつ有機シラン分子のチタン表面と結合する側の末端を加水分解させ、生成したシラノール基とチタン表面の水酸基とを結合させるために、溶媒としてトルエンあるいはpHを調整した酢酸水溶液を用いた。水に対する水滴接触角の値およびX線光電子分光スペクトル中の各種官能基およびシロキサン結合の有無から、チタン表面が各種官能基で修飾されていることの確認を行った。さらに、水、ヘキサデカンおよびジヨードメタンに対する水滴接触角から各種官能基で修飾したチタン表面の表面エネルギーの値を算出した。水滴接触角の大きさは、メチル基修飾チタン表面、チオール基修飾チタン表面、アミノ基修飾チタン表面の順に大きいことが確認できた。現在、擬似体液であるHanks溶液に浸漬し、カルシウムおよびリン酸イオンの吸着を調査している。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

表面エネルギー等の表面特性の観点からチタン表面の骨形成能について調査・検討するために、昨年度は、様々な表面エネルギーをもつチタン表面を得るために、各種官能基によるチタン表面の修飾を行った。現在、擬似体液中での骨形成に関する評価を進めており、研究の進捗状況は良好であると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

本年度は、引き続き、シランカップリング法によりチタン表面を様々な官能基で修飾し、各種官能基で修飾したチタン表面の表面電荷量および表面エネルギーの大きさと、骨形成能との相関について調査・検討を行う。さらに、チタンおよびチタン合金の微細組織と骨形成能との関係についても、表面電荷量および表面エネルギーの大きさの観点から、調査・検討を行う。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成26年度請求額とあわせ、平成26年度研究遂行に使用する予定である。
本年度7月より、当該申請者は他大学に異動するため、本研究を遂行するにあたり、次年度使用額を、現在所属する研究室に具備された実験装置を使用しに行く場合の旅費や不足分の実験器具等の購入にあてる予定である。