2014 Fiscal Year Annual Research Report
高クロム高窒素コバルト合金レーザー積層造形体の疲労メカニズムの解明
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25820350
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
蘇 亜拉図 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (80611532)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レーザー積層造形体疲労特性異方性 / 柱状晶 / レーザー積層造形体 / き裂伸展 / CoCrMo合金 / 機械的異方性 / 熱処理 / 組織微細化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、レーザー積層造形法(SLM)により作製した高クロム高窒素コバルト合金の疲労特性メカニズム解明し、本合金の疲労強度を改善させる方法を提案する。平成26年度では、バスアトマイズ法により作製した高クロム高窒素コバルトクロム合金粉末を準備し、レーザー積層造形機に供した。粉末積層造形法を対して、平行および垂直方向に疲労試験片の長手方向になるように作製した。それぞれ、0°材と90°材と称す。本年度では、造形方向を変化させた際の疲労特性の変化について調査した。 (1)疲労試験結果、0°材および90°材では10の7乗回疲労強度は約450MPa であり、大きな違いが生じなかった。しかし、低サイクル疲労では0°材の方が90°材より高い疲労強度を示し、本合金の疲労特性にも異方性が存在することが明らかになった。一方、機械的特性では90°材の方が0°材より高い引張強さを示すことが分かっている。高引張強さを有する90°材では低い疲労特性示したことから、機械的特性と疲労特性の影響因子は異なっていると考えられる。 (2)破面観察結果、低サイクル疲労領域では90°材の破面では粒界と思われる段差が多く存在し、0度材では比較的に平坦な疲労破面であり、結晶粒の寸法および伸展方向が関わっていることを示唆した。本合金積層造形体の結晶粒は積層造形方向に伸展し、き裂が結晶粒界を沿って進展した場合、結晶粒の伸展した方向では進展しやすくなる。以上のことから、90°材ではき裂進展方向が結晶粒伸展した方向に平行であり、き裂進展速度が速いために、疲労寿命が低下したと考えられる。このことから、本合金の組織を微細化を実現した場合、更に疲労特性が向上することが予測される。また、本合金積層造形体に熱処理を施すことで組織微細化に成功した。この微細化処理を行った場合、疲労性異方性存在せず、疲労強度も大きく改善された。
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