2014 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物のドメイン壁および粒界を利用した新奇磁歪材料の研究
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25820358
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 桂輔 茨城工業高等専門学校, 自然科学科, 講師 (10418212)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 磁歪 / 磁気形状記憶 / 超弾性 / コバルト酸化物 / スピン状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
双晶構造を有する磁性体や誘電体は,磁気形状記憶効果やドメイン壁による巨大圧電定数といった魅力的な特性を示す.申請者らは,酸化物の磁性体La1-xSrxCoO3で磁気形状記憶効果を示すことを報告し,スピン状態とドメイン壁を利用した新たな磁歪材料の可能性を指摘した.本研究では,(A) 強磁性を示す組成x = 0.2の単結晶の磁歪と弾性の結晶方位依存性から,双晶構造が歪み特性に及ぼす影響と,(B) 粒度を小さくした多結晶を作製し,多結晶においても磁気形状記憶効果を示すかどうかを明らかにする.さらに,(C) LaCoO3に種々の元素置換を行い, La1-xSrxCoO3の中間スピン状態とは異なるスピン状態が実現している組成を,強磁場磁化から明らかにする. 本年度は,x = 0.2単結晶の磁歪の結晶方位依存性の測定を行った.その結果,磁場印加方向によって,磁歪特性に大きな相違が見られた.[111]cでは双晶変形が生じ,[110]cでは超弾性,[100]cでは弾性特性が得られた.また,磁場印加前後の表面凹凸を微分干渉顕微鏡で観察し,磁場による双晶変形の変化を表面の凹凸の変化でも確認した.上記の特性は,菱面体の双晶構造を考慮すればほぼ理解できるが,[110]cで超弾性を示した理由が判明していない.また,粒度を小さくした多結晶において,磁場により双晶変形が生じることを確認した.これにより,多結晶の状態で組成探索を行うことができるようになった.一方,70Tまでの強磁場中の磁化の詳細な解析からは,CoをRhやIrで置換したときに,La1-xSrxCoO3の中間スピン状態とは異なり,高スピン状態が安定することが解った.これらの組成の磁気弾性は,次年度以降の課題である.
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Remarks |
電気通信大学大学院博士学位論文 佐藤桂輔「LaCoO3におけるCo3+スピン状態の強磁場物性による研究 ―磁場誘起スピン転移と元素置換効果―」(2015年3月)
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Research Products
(8 results)