2014 Fiscal Year Research-status Report
高性能フレキシブル熱電変換素子実現に向けた新規熱電ナノフィラーの開発
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25820363
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 圭子 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80361137)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 熱電変換材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブ(CNT)の表面をシリサイド系熱電変換材料でコーティングした新規熱電ナノフィラーを開発し,さらにそれらをポリマー中に分散させた高効率フレキシブル熱電変換素子を実現することが本研究課題の目的である.今年度は主にCNTへのコーティング形成について研究をおこなった. 本研究ではCNT表面にシリサイド系熱電変換材料をコーティングするため,まずCNT表面にシリカコーティングを施し,シリカをシリコンへと還元した後,その後CNT表面においてシリコンと金属を反応させ合成を行った.シリカコーティングについては,CNTに硫酸と硝酸の混酸で表面処理を施し,さらにゾル―ゲル法を用いることにより,厚さ約40nmの均一なコーティング層をCNT表面に形成する事に成功した.またこのシリカコーティングされたCNTをマグネシウムと混合し,ステンレスチューブ内にアルゴンガスとともに封入した後,700℃~900℃で加熱することにより,CNT表面のシリカをシリコンへと還元することに成功した.しかしCNT/シリコン界面には厚さ数nmのアモルファス不純物層が存在すことがTEMにより観察された.これは還元されなかったシリカコーティングであると考えられる.また800℃以上で還元することによりCNTとシリコンが反応しSiCが形成されることを明らかにした.さらにシリコンコーティングされたCNTをマグネシウムとともにアルゴン雰囲気中700℃~750℃で加熱することによりn型熱電変換材料であるマグネシウムシリサイドをCNT表面に合成することに成功した.本研究で得られたマグネシウムシリサイドはナノオーダーサイズの粒径を持ち,高いフォノン散乱効果が期待され,複合材料の熱電特性向上に有効であると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,シリコンナノ粒子をコロイダルプロセスによりCNT表面へ付着させる予定であったが,シリコン粒子表面のゼータ電位制御について克服困難な問題が生じたため,CNT表面にシリカコーティングを施した後に還元するプロセスへと変更することにより,CNT表面にシリコンコーティングを施すことに成功した.さらにマグネシウムとシリコンを反応させることによりCNT上にマグネシウムシリサイド熱電変換材料のコーティングを合成することができた.さらにこれらナノフィラーの微細組織についても評価を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
シリサイド系熱電変換材料をコーティングしたCNTを導電性ポリマー中に分散させ,熱伝導率,導電率,ゼーベック係数等,熱電特性を評価する.またマグネシウムシリサイドはn型の熱電変換材料であるため,CNT上にp型熱電変換材料を合成したナノフィラーも作製し、熱電変換デバイス創製のための研究を行う.
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Causes of Carryover |
平成25年度に産前産後・育児休暇を取得し,研究期間の延長を申請したためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に試料作製に必要な薬品,粉末,各種消耗品,およびデータ分析のために必要な電子機器およびソフトウェアなどの物品購入,試料評価に必要な共通装置を利用するための装置利用料として使用する.
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Research Products
(1 results)