2015 Fiscal Year Research-status Report
高性能フレキシブル熱電変換素子実現に向けた新規熱電ナノフィラーの開発
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25820363
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 圭子 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80361137)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 熱電変換材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブ(CNT)の表面をシリサイド系熱電変換材料でコーティングした新規熱電ナノフィラーを開発し,さらにそれらをポリマー中に分散させた高効率フレキシブル熱電変換素子を実現することが本研究課題の目的である.昨年度までの研究において,マグネシウムシリサイドがCNTにコーティングされた新規熱電ナノフィラーの合成に成功した.そこで本年度は熱電ナノフィラーをポリマー中に分散させた熱電変換素子を作製し,熱電特性の評価を行った. 熱電変換素子を作製するにあたり,まず,ポリマー中で熱電ナノフィラー同士が接触したネットワーク構造を形成していないと導電率の向上は得られないことが明らかである.そこで本研究では熱電ナノフィラーを圧粉成型後,エポキシ樹脂を含浸することにより熱電ナノフィラーがネットワーク構造を有する複合熱電変換材料を作製した.この複合材料の導電率,ゼーベック係数,熱伝導率を測定した結果,n型の熱電特性を示すことが確認された.しかし無次元性能指数は非常に低い値であった.そこで熱電ナノフィラーの微細組織を詳細に検討した結果,マグネシウムシリサイドコーティング中に不純物である酸化マグネシウムのナノ結晶が分散していることが明らかとなった.この酸化マグネシウムが熱電ナノフィラーの電子伝導を阻害するためにナノフィラーの導電率が低下し,無次元性能指数が低減したものと考えられる.コーティング形成プロセスを改善し,不純物を低減することにより,より高い性能をもつフレキシブル熱電変換素子を実現できると期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではカーボンナノチューブ上にマグネシウムシリサイドをコーティングした熱電変換ナノフィラーの合成に成功し,ポリマーとの複合化によりn型の熱電特性を示すことを明らかにした.さらにこれら熱電変換ナノフィラーの微細組織についても詳細に検討をしており,当初の目的を概ね達成できている.
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Strategy for Future Research Activity |
不純物である酸化マグネシウムが生成する原因を調査し,不純物低減のためのプロセス改善を行う.
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Causes of Carryover |
研究を効率的に進めることができ、組成分析や微細構造解析にかかる共通装置使用料を抑えることができたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
不純物である酸化マグネシウムが生成する原因を調査し,不純物低減のためのプロセス改善を行う.
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Research Products
(2 results)