2013 Fiscal Year Research-status Report
ホウ酸塩結晶による真空紫外用擬似位相整合結晶の作製
Project/Area Number |
25820366
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前田 健作 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40634564)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ホウ酸塩結晶 / 真空紫外 / 擬似位相整合 / 双晶境界 / 固液界面 / 融液成長 |
Research Abstract |
全固体真空紫外レーザー光源の実現には、真空紫外光を透過する非線形光学結晶において位相整合させる必要がある。擬似位相整合では、位相整合波長を選択して高効率に波長変換できるが、現在実用化されている強誘電体結晶による擬似位相整合結晶(PPLNなど)は真空紫外光を透過しないため利用できない。ホウ酸塩結晶は、真空紫外領域での透過性能と非線形光学特性を併せ持つが、常誘電体であるため擬似位相整合結晶は作成できないと考えられてきた。そこで本研究では、ホウ酸塩結晶である四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)の双晶形成を自在に制御して、周期双晶を作製することで擬似位相整合結晶を得ることを目的とした。平成25年度では「スポット状融解による周期双晶作製方法の改良」と「ライン状融解による双晶周期の微細化」を行った。 「スポット状融解による周期双晶作製方法の改良」では、雰囲気制御機構を有する周期双晶作製装置を新たに設計および組み立て、双晶周期の微細化に取り組んだ。スポット状の融液の形状を安定化することができれば、周期双晶の反転周期を精度よく形成でき、また微細化が可能となる。本装置は減圧雰囲気にすることで、融液へ気体成分の取り込みを抑え、融解および成長時の気泡の発生を抑え、スポット状の融液の形状を安定化させることができた。本装置では、板状結晶に対して直角に白金線ヒーターを貫通させることで、板状結晶の一部にスポット状の融液を実現できる。「ライン状融解による双晶周期の微細化」では、リボン状の白金ヒーターを用いて、前述の方法で作製した周期双晶を融解および結晶成長させることで双晶周期を調整することを可能にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は2ヶ年計画であり、平成25年度では「スポット状融解による周期双晶作製方法の改良」と「ライン状融解による双晶周期の微細化」を実施した。スポット状の融液の直径は白金線ヒーターの径より大きいため、細い白金線ヒーターを細くするほど微細な融液を形成でき、微細な周期双晶を作製できる。しかし、融液サイズが不安定であり、φ100m以下の細い白金線では、周期双晶作製中に断線する問題があった。雰囲気制御機構を導入することで安定かつ微細なスポット状融液を形成させることができた。「ライン状融解による双晶周期の微細化」では、同様に雰囲気制御機構によりライン状の融液の端部において固液界面を安定化することができ、精度よく双晶周期を調整することができ、予定通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
2ヶ年計画の後半に当たる平成26年度は、「立体的な成長方位変化における双晶形成メカニズムの解明」と「表面加工により作製した周期双晶種子結晶を用いた周期双晶作製方法」に取り組む。また、擬似位相整合結晶としての特性評価を行い、真空紫外用擬似位相整合結晶を実現させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
雰囲気制御機構付き加熱炉を一括購入する計画であったが、研究を効率よく進めるために各部材を分割して購入している。必要な機能を持たせるための部材を順次購入したため、見込み額と差異が生じた。 次年度の研究を効率的に進めるために、必要な加熱電源等の部材を購入する。また次年度に購入を予定しているカメラ付き顕微鏡において、より高分解能な機種の購入に充てる。
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