2014 Fiscal Year Research-status Report
熱エネルギーに代わる新規なスパッタ薄膜構造制御技術開発
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25820371
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Research Institution | Miyakonojo National College of Technology |
Principal Investigator |
野口 大輔 都城工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (00413881)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スパッタリング法 / 薄膜構造制御 / ラジカル / 化学アニーリング効果 / 高速低温結晶化 / 光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はスパッタ工程において数原子層レベルで構成されたスパッタ薄膜構造が、ラジカルの化学アニーリング効果によって構造変化していく様子を成長段階ごとに観察した。昨年度より各運動エネルギー条件下で作製されたスパッタ薄膜構造の中で特に結晶性に優れた運動エネルギー条件下で作製した薄膜構造において、ラジカル照射による成長の差異から高速低温成膜条件下における薄膜成長過程を調査した。 走査プローブ顕微鏡による表面観察の結果から、TiO2の成長初期過程(膜厚1~10nm)程度では数nm程度の粒子が特定の部分に集合した100~300nmほどのカルデラ状の表面構造が観察された。この構造は核形成層の表面構造における凸部分に選択的に観察された。また、この表面構造は薄膜成長に伴いカルデラ状が不明瞭になり薄膜特有の柱状構造へと変化しており、その後連続的に大きくなっていくことが観察できた。表面積(S)は薄膜の成長によらずほぼ一定であるにもかかわらず平均表面粗さは高さ方向中心に成長する領域と横方向中心に成長する領域の2つの領域がある事が観察でき、さらにその境界は5nm堆積した時であることが確認できた。 薄膜を堆積させる表面(核形成層表面)との相互作用が強いという事もふまえると、RAS法により高速低温条件下で成膜された薄膜は薄膜初期成長モデルのVolmer-Weber型であり従来の薄膜成長過程と同様の形態であることが現時点では予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにスパッタ粒子の運動エネルギーを数値化し、その制御因子の抽出を明らかにした。また、本年度導入された走査プローブ顕微鏡を用いた数原子レベルで構成されたスパッタ薄膜構造のその場観察(粒子径・分布・構造)による運動エネルギーに対する構造変化の様子を明らかにし、特にスパッタ工程における数原子層レベルで構成されたスパッタ薄膜構造の内高い結晶性を示した構造において、ラジカルの化学アニーリング効果によって構造変化していく様子を成長過程ごとに観察することで高速低温条件下における薄膜成長過程を明らかにした。導入の遅れていた走査プローブ顕微鏡を駆使することで昨年度の遅れを取り戻すことができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
スパッタ工程において各運動エネルギー条件下で作製した数原子層レベルで構成されたスパッタ薄膜構造が、ラジカルの化学アニーリング効果によって構造変化していく様子を成長段階ごとに観察し、結晶性および機能性(光触媒特性)評価を行う。各運動エネルギー条件下で作製されたスパッタ薄膜構造の、ラジカル照射による成長の差異からラジカルの化学アニーリング効果に有効なスパッタ薄膜構造を決定する。
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