2014 Fiscal Year Research-status Report
多元系Ni基超合金のクリープ変形に及ぼす積層欠陥エネルギーの影響
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25820372
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
北嶋 具教 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (00421397)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Ni基超合金 / 積層欠陥エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
Ni基超合金の高温クリープ変形中に生じる積層欠陥エネルギーと変形ひずみの関係を解明することを目的とし、(1)多元系の積層欠陥エネルギーについてCALPHADを用いて熱力学的に計算するプログラムやモデルの開発、(2)添加元素のγ相積層欠陥エネルギーへの影響の調査、(3)Phase-field法による積層欠陥を伴う転位運動モデルの開発、(4)積層欠陥エネルギーの変形ひずみや臨界分解せん断応力への調査を行っている。
平成26年度は、前年度に開発したγ相の積層欠陥エネルギーを求める計算プログラムを使って、多元系におけるRu、Re、Al、Co添加の積層欠陥エネルギーに対する影響を調査した。これまでRuやCoの添加はγ相における拡張転位の積層欠陥エネルギーを低下させると報告されている。一方でRu添加は積層欠陥エネルギーに対して影響は小さいとも過去に報告されていた。本研究により、Ni-Co-9at%Al-Ru合金において、300℃、900℃ともにRuの5at%添加により積層欠陥エネルギーが下がり、その低下量は12.5at%のCo添加による低下量とほぼ等しいことがわかった。またRu添加による積層欠陥エネルギーの低下はAl濃度の影響を受ける可能性があることを示した。Ni-15at%Co-Al-Ru合金において、Alの添加量が増加するにつれて、Ru添加による積層欠陥エネルギーの低下が大きくなった。Ru添加による積層欠陥エネルギーへの影響が小さいとする過去の報告ではAlが添加されていない合金を解析しており、その結果を裏付けるものである。Reについては300℃、900℃ともに添加量を5at%まで増加してもほとんど変化がないことがわかった。現在、Phase-field法による積層欠陥を伴う転位運動モデルの開発を行っており、この積層欠陥エネルギー計算に基づいた自由エネルギー関数を作成したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多元系の積層欠陥エネルギーについてCALPHADを用いて熱力学的に計算するプログラムやモデルの開発、添加元素のγ相積層欠陥エネルギーへの影響を調査した。積層欠陥を伴う転位運動を計算するために積層欠陥エネルギー計算に基づいたPhase-field法の自由エネルギー関数の作成を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25、26年度に開発した積層欠陥エネルギー計算モデルをPhase-field組織形成モデルに組み入れ、積層欠陥を伴う転位運動モデルを開発する。これにより臨界分解せん断応力とクリープひずみ速度への影響を評価する。
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Causes of Carryover |
初年度の計算機を予定よりも少し価格を下げて購入することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
その他の費用(消耗品費や旅費が)では予定よりも高くなる可能性があるため、平成27年度に有効活用したい。
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