2015 Fiscal Year Annual Research Report
多元系Ni基超合金のクリープ変形に及ぼす積層欠陥エネルギーの影響
Project/Area Number |
25820372
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
北嶋 具教 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先進高温材料研究ユニット構造機能融合材料グループ, 主任研究員 (00421397)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Ni基超合金 / 積層欠陥エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではNi基超合金の高温クリープ変形中に生じる積層欠陥エネルギーとクリープ変形ひずみの関係を解明することを目的とし、多元系の積層欠陥エネルギーについて計算モデルを開発し、クリープ変形に対する元素添加の効果を調査・議論してきた。平成27年度は、これまでに開発した積層欠陥エネルギーモデルを使って、高合金の積層欠陥エネルギーに対する影響を調査した。また、Phase-field法の計算とカップリングすることにより、8元系合金のミクロ組織に形成された狭いγチャンネルにおける積層欠陥エネルギーを算出し、γチャンネルの偏析が転位移動に与える影響についても議論した。過去に行っていたクリープ試験の結果についてもRu添加の効果について議論した。さらには、これまであまり報告されていないCo基超合金についても積層欠陥エネルギーの効果についてシミュレートし、議論した。Phase-field法の計算により、8元系Ni基超合金のγ/γ’組織形成過程において、狭いγチャンネルにおいて偏析が生じる。あるところでは、広いγ相に比べて、AlとReの濃度がそれぞれ1at%、0.3at%高く、また、CoとRuの濃度は2at%、0.5at%低かった。これにより、狭いγチャンネルの積層欠陥エネルギーは広い領域に比べて、9mJ/m2高く、積層欠陥の幅はより狭くなっていると予想される。Ru添加により、2次クリープにおいてγ’相中の積層欠陥の数密度は低くなり、γ相中の転位は増加するが、これはRu添加により積層欠陥エネルギーが下がり、相界面でペアの転位の拡張幅が広がり、γ’相内のペアの転位形成のために必要なエネルギーが増大し、γ‘相中に侵入する積層欠陥の数密度が減少すると考えられる。また、γ’相内に転位が侵入する際には、積層欠陥幅が広いと予想される狭いγチャンネルから優先的にカットする可能性がある。
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