2015 Fiscal Year Research-status Report
結晶形態を制御した連続鋳造用緩冷却モールドフラックスの開発
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25820376
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 玄 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (70361780)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 連続鋳造用フラックス / 結晶化 / カスピダイン / CCT図 / デンドライトアームスペーシング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に引き続き,溶融状態から冷却過程における結晶化挙動を比較するため,ホットサーモカップルでの連続冷却実験により結晶化挙動を観察し,晶出相の形態の評価を行なった。実験装置の改善により,カスピダインは実機同様に一方向のデンドライト結晶を形成するようになったが,連続冷却過程においても高温域では初晶のオラストナイトが晶出し,現在の組成設定では実用モールドフラックスの実機鋳型内のスラグのようにカスピダインのみが晶出する状況を再現できていない。また,カスピダインのデンドライト全体の太さと冷却速度の関係において,デンドライトアームスペーシングに関する岡本の式のように明確な相関が見えづらく,注目しているカスピダイン結晶の適切な太さを実現する条件と言うものを明らかにすることはできなかった。 一方,浸漬実験による組織形成の検証を行うための準備として,スラグ溶融炉を自作したため,次年度において鋳型を模した温度勾配を設けた際の結晶組織の組成依存性について検証を行う。 等温保持におけるTTT図作成の成果について,5月に北京で行われた第6回世界製鋼会議(ICS2015)においてKeynoteとして講演した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ホットサーモカップルの連続冷却による試験を継続して行ったが,冷却速度とデンドライトの太さに関する明確な相関が実験において見えづらく,注目しているカスピダインの適切な結晶形態の制御に難航している。 以上のように,実際の鋳型環境に近い浸漬実験による組織形成とホットサーモカップル下での組織形成との相関を十分に取る必要が生じたため,遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度において実現できなかったカスピダインのみの晶出を実現するため,添加成分を増やしてより実機組成に近づけた試薬による合成スラグを設定し,オラストナイト晶出を抑える成分を特定するとともに,冷却速度とカスピダインのデンドライトの太さとの関係について継続して調査する。 前述のように,浸漬実験を行うための電気抵抗炉を自作したため,連鋳機鋳型を模して温度勾配を設けた際の結晶組織の組成依存性について検証を行う。 また,これまでの成果についての論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
実験装置の改善により高額な熱電対の消耗が抑えられたことと,研究室に既存の材料で浸漬実験用の炉を構築できたため,本年度での支出が抑えられた。しかしながら制作した浸漬実験用の炉は炉体,発熱体への負荷が大きく交換サイクルが短くなることが予想されるため,次年度は従来の研究のための消耗品購入に加え,炉材などの購入費用が必要になる。 また,投稿論文が完成していないため,掲載料に関わる費用の支出がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
補助事業期間を1年間延長したため,今後の研究推進方策等に記した通り,継続してホットサーモカップルによる晶出形態制御の研究を行うための消耗品の購入,浸漬実験用の炉材の購入に充てる。 投稿論文2報を目標とし,その掲載費用に充てる。
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Research Products
(1 results)