2013 Fiscal Year Research-status Report
インテリジェント・イオン液体を用いた藻類オイル生産に向けた湿式抽出プロセスの構築
Project/Area Number |
25820380
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相田 卓 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (00466541)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抽出 / 相平衡 / 微細藻類 |
Research Abstract |
藻類からのバイオ燃料生産プロセスにおいて,オイル抽出のための乾燥工程は,エネルギー消費が大きいため課題となっている.本研究の目的は水溶液におけるイオン液体(IL)の界面活性剤の性質と熱応答性を利用した藻類オイルの湿式抽出プロセスの構築である.本研究は本用途におけるIL構造と相平衡の関係を明確にし,抽出・分離プロセスに必要な知見の獲得を行う.これらの結果に基づいて,界面活性剤の効果,温度応答性の効果に最適なイオン液体を設計し,最後に,実藻類の抽出を行い,本手法の課題を明確にする. 25度はイオン液体-水の2成分系における相平衡測定およびデータの蓄積を行った。イオン液体にはバイオマスの反応・溶解の報告が豊富に存在するイミダゾリウム系のイオン液体を用いて,そのカチオン種の側鎖長が及ぼす相挙動の温度応答性を観察した. 【実験】イオン液体としてカチオンのアルキル鎖長の異なる4種類のイミダゾリウム塩化物([Cnmim][Cl]:n=12、14、16、および18)を用いた。イオン液体を0.10 mol/Lの水溶液とし、5~40℃において相状態を目視観察した。相平衡測定は本予算で購入した可視窓付高温高圧セルを用いて測定を行った.またn=18のイオン液体に対しDSC(示差走査熱量測定)を用いて相転移温度に及ぼす濃度の影響(0.01~0.10 mol/L)を測定した。各濃度条件において40℃~5℃の冷却時に導電率の変化を測定することにより、液相から結晶相への相転移温度を決定した。また、各相におけるミセルの形成をDLSで確認した。 本年度の検討により、n=18のイオン液体であれば0.02 mol/L以上の水溶液を媒体とすることで30℃以上での抽出、15℃以下での分離を行う藻類油脂の抽出・分離プロセスの実現が期待できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度において検討を行った項目は以下の3点であり、研究実施計画はほぼ達成しいると考えている。検討項目:(1)イオン液体ー水系における相平衡データの蓄積、(2)イオン液体水溶液の相状態の温度依存性および構造依存性に解明、(3)イオン液体水溶液におけるオイルの溶解実験。具体的な成果は以下に示す。 【実験】イオン液体としてカチオンのアルキル鎖長の異なる4種類のイミダゾリウム塩化物([Cnmim][Cl]:n=12、14、16、および18)を用いた。イオン液体を0.10 mol/Lの水溶液とし、5~40℃において相状態を目視観察した。相平衡測定は本予算で購入した液観察セルを用いて測定を行った.またn=18のイオン液体に対しDSC(示差走査熱量測定)を用いて相転移温度に及ぼす濃度の影響(0.01~0.10 mol/L)を測定した。各濃度条件において40℃~5℃の冷却時に導電率の変化を測定することにより、液相から結晶相への相転移温度を決定した。また、各相におけるミセルの形成をDLSで確認した。【結果と考察】①5℃および25℃の温度条件においてはアルキル側鎖が短い系は均一相となり、長鎖の系では高温において相分離を示した。これは、側鎖の延長にともない、イオン液体間の疎水性相互作用が増大し、会合しやすくなったためだと考える。なお、n=18のイオン液体水溶液において温度条件30℃以上で均一相を形成することを確認した。②n=18のイオン液体水溶液において15℃、30℃および60℃付近で相転移を確認した。15℃付近の相転移はイオン液体の結晶相から液晶相への転移、30℃付近の相転移は液晶相からミセル相への転移、60℃付近ではミセル相から等方相への相転移であることを確認した。本イオン液体水溶液におけるオイルの溶解度測定も現在行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
実藻類におけるイオン液体抽出法の評価 平成25年度に得られた結果に基づき、選定したイオン液体を2種ほど用いて抽出・分離実験を行い、相挙動観察と回収物の定量的評価を行いながら,本手法の課題を明らかにする.試料には真正眼点藻Nannochloropsis sp.,緑藻Botryococcus braunii,および熱水前処理したこれらの藻類を使用する.実験には可視セル反応装置を用いる.試料,超純水,イオン液体を反応器に仕込み,所定温度において抽出を行った後,冷却し,分離したオイル層,水層,固体の回収を行う.抽出条件の温度範囲は工場の排熱利用が可能な150℃までとする. 回収液中の成分は,溶媒分離などを行いながらマスバランスを評価したのち,各分画成分の元素バランス(N,P,C,O)を評価する.また,詳細な成分に関してはサンプルは現有のマイクロアシライザーを用いて脱塩濃縮し,得られた分画後の抽出物についてGC-MS,GPC(Gel Permission Chromatography),MALDI/TOFMS(Matrix-Assisted Laser Desorption Time-Of-Flight Mass Spectrometry),HPLC(High Performance Liquid Chromatography),NMRなどの手法を用いて定性・定量分析する.GC-MSではオイル成分の定性・定量,GPCおよびMALDI/TOFMSでは構成成分の分子量を,HPLCでは糖などの低分子成分を,元素分析ではヘテロ原子の存在割合を検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入予定の可視窓付高温高圧セル【AKICO・V50- 20M-T150-OP2、1台、\1,860,000】が必要でなくなったため、大幅な予算の節約が可能となった。これは実験の進行にともない、測定条件が明確となり、また自ら設計することで、実験装置の軽量化、小スペック化が可能となったためである。 繰越予算はインテリジェントイオン液体水溶液の温度応答性を顕微鏡観察するためのセルの購入(150万円)のため使用予定である。
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