2014 Fiscal Year Annual Research Report
インテリジェント・イオン液体を用いた藻類オイル生産に向けた湿式抽出プロセスの構築
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25820380
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相田 卓 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (00466541)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抽出 / 相平衡 / 微細藻類 / イオン液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は藻類におけるイオン液体の抽出法の評価を行った. 試料の微細藻類には,緑藻Botryococcus braunii(藻体)を用い,界面活性イオン液体(SAILs)には,カチオンのアルキル鎖長の異なる4種類のイミダゾリウム塩化物([Cn mim][Cl]:n=12,14,16,および18)を用いた.抽出実験は,藻体スラリー(含水率96 %) にSAILsを加えて混合し,35 ℃で5時間抽出を行った後,4 ℃まで冷却し,相分離を誘発させ,24時間保持した.相分離後,ヘキサンを加え,上相(ヘキサン相),水相および固体相(SAILs相)のオイルを定量した.オイルの抽出率は,乾燥藻体のヘキサン抽出量を100 %として評価した. 検討を行ったSAILsにおいて,アルキル鎖長が短い [C12mim][Cl], [C14mim][Cl]は,水との親和性が高く,冷却をしても相分離が認められなかった. 一方, SAILsのアルキル鎖長が長い[C16mim][Cl],[C18mim][Cl]は,冷却後に相分離することを確認した.オイル抽出率は,[C16mim][Cl]を用いた抽出においては約80%, [C18mim][Cl]ではほぼ100%であった.SAILsを用いた湿式抽出法が,藻体を乾燥し,ヘキサンで抽出を行う従来法と同等の抽出率であることを明らかにした.最後に,本手法におけるSAILsのリサイクルについて検討を行った.冷却後に固相において回収したSAILsの回収率は[C16mim][Cl]を用いた抽出ではほぼ100%であるのに対し, [C18mim][Cl]の回収率は80%であった. 以上,微細藻類のSAILs抽出法は従来法と同程度の抽出率を保ち,SAILsのリサイクルも可能であることを明らかにした.今後は室温で相分離するSAILsの合成が期待される.
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Remarks |
本年度の研究成果は、現在、学術論文として投稿準備中である。本研究成果を発展させた研究を、H27年度を基盤Cの研究課題として申請しており、採択をいただいている(研究課題名:イオン液体の相間・リレーによる藻類オイルの湿式・超臨界CO2抽出法の構築)。
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