2013 Fiscal Year Research-status Report
正逆交互回転運動を利用した撹拌装置の動力・流動特性
Project/Area Number |
25820381
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
菰田 悦之 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00397796)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | トルク変動計測 / 翼位置制御 / 乱流 / 層流 / 邪魔板条件 |
Research Abstract |
正逆交互回転撹拌翼に働く力は連続的かつ正負に変動することから,静トルクセンサーを利用したトルク測定を行った.また,撹拌翼はステッピングモーター駆動とし,モーションコントロールボードを利用して正弦的な回転角変化を実現するとともにステップ数から翼位置情報も得た.瞬時の翼速度と軸トルクの連続計測を行い,撹拌所要動力計測システムを構築し,0.001~1Pa.sオーダーの幅広い粘度範囲のグリセリン水溶液を利用して動力特性を評価した. 高粘度流体では翼に働く力は翼速度と同位相で変化したが,粘度が低下すると翼反転直後にトルク摂動が見られるようになった.また,振幅が小さいほどすなわち単位時間当たりの翼反転回数が多いほど,高粘度流体でこの摂動が見られた.さらに,摂動を伴いながらも翼速度最大時の翼に働くトルクは粘性支配であった.しかしながら,さらに粘度が低い流体では軸トルクが慣性支配となることがわかった. 平均回転速度を代表速度として,レイノルズ数および動力数を定義したところ,レイノルズ数が5より小さければ実験を行った撹拌条件においては動力数はレイノルズ数に反比例してレイノルズ数よって一意的に決定されたが,反比例から逸脱するレイノルズ数は振動振幅によって異なり,レイノルズ数200以上ではレイノルズ数によらず動力数が一定となる乱流の特徴が見られたが,その一定値は振幅によって異なる値であった.これは通常の撹拌翼では邪魔板条件によって動力数が異なる現象に対応すると考えられ,正逆交互回転翼は反転時に邪魔板としても機能するので振幅が小さいほど頻繁に反転して邪魔板効果が高く,乱流における動力数も大きな値を示したと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度は動力計測システムを構築し,翼位置と軸トルクの関係を得ること,動力数とレイノルズ数の関係を調査することを目的としており,その目的は十分に達成することができた. さらに,乱流においては複雑なトルク変動を示したが,周波数解析を行うことで振動周波数の奇数倍のトルク変動を含むことが明らかになり,その原因究明の重要性を初年度に認識することができた点は大きな進展であると理解している. また,トルクに対する槽底の影響を考慮するために翼取り付け高さを変更した実験を行ったことで,動力のみならず流動や混合が槽底クリアランスによって大きく変化することも明らかになり,新たな研究内容の必要性を認識することもできた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は当初の予定通り速度場の計測を行い,これまでに報告している数値計算結果の妥当性を検証するとともに,槽内流動状態の三次元性についても議論することを考えている.本実験系では速度場が周期定常であるので,rΘ平面およびrz平面において数周期にわたる動画撮影ならびに連続PIV解析を行う必要がある. さらに,動力計測から層流・乱流遷移が振幅によって異なるレイノルズ数において見られることが示唆されたため,特に境界レイノルズ数付近では平均速度場以外に速度場の摂動にも十分注意を払って計測や解析を行うことを考えている. さらに,脱色反応を利用した混合実験を行い,混合時間と流動状態の関係についても精力的に検討を進めていくことも計画している.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消費税計算の過程で生じた1円の誤差が生じた. 繰越金が1円であるため,次年度の使用計画に対する影響はない.
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